2023 Fiscal Year Research-status Report
DASによる超高密度データを正しく使うための下処理手法の提供
Project/Area Number |
23K03553
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江本 賢太郎 九州大学, 理学研究院, 准教授 (80707597)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 光ファイバーケーブル / DAS観測 / 地面とのカップリング / 歪時系列 |
Outline of Annual Research Achievements |
光ファイバーケーブルを用いたDistributed Acoustic Sensing(DAS)観測では、数十kmの光ファイバーケーブルに沿って数m間隔で振動を計測することができ、これまでの地震観測と比較し超高密度なデータを得ることができる。光ファイバーケーブルと地面のカップリングが記録される歪に大きく影響することがわかっている。この影響を定量化するために、本課題ではコントロールされたさまざまなケーブルのカップリング状況を作り出し、それが歪時系列、そのフーリエスペクトルにどのような影響を及ぼすのかを確認する。また、既存データにこの知見を適用し、例えば、歪振幅の小さかった場所が、真に地盤構造を反映したものなのか明らかにする。本課題でのDAS観測は未実施であるため、他データの解析から、ケーブルのカップリングの影響を調査した。用いたデータは、熊本県の国道3号沿いに国土交通省が敷設した光ファイバーケーブル、桜島の野尻川沿い・一周道路沿いの光ファイバーケーブルを利用したDAS観測データである。桜島の野尻川沿いでは、複数個の地震計も同時に設置することで、DASとの振動の違いを調べた。国道3号や桜島一周においては、橋梁部分や交差点で常に揺れが計測される一方、ほとんど揺れを示さない計測ポイントも存在した。この中には、普段は揺れないものの、地震のような大きな揺れのときには振動する様子が確認できるものもあり、ケーブルと地面とのカップリングが弱いと推察される。つまり、直上を車両が通過するような大きな揺れを人工的に起こすことで、ケーブルのカップリングに関する情報の一部を得ることが可能であることが示唆される。野尻川沿いの地震計との比較では、わずかな場所の違いにより波形に大きな違いが出ることがわかり、今後行う観測ではカップリングと微細な不均質の影響を分離することが重要であることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
DAS観測は九州大学のキャンパス内で行う予定で、現在はまだ場所の選定と、実現可能な具体的なケーブルと地面のカップリングの種類の構想を立てている段階である。また、より現実に近い状況を再現するため、日本の国道下に設置された光ファイバーケーブルに関する情報を調査中を行っている。DAS観測は2024年度に実施予定である。そのため、2023年度は、熊本県の国道3号、桜島の野尻川沿い・一周道路沿いの光ファイバーケーブルを用いて行なったDAS観測のデータの解析を進めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度に、DAS観測装置の契約を行い、観測を実施する予定である。既存データの解析から、少しの場所のずれによって、得られる歪記録が大きく異なることもわかってきたため、DAS観測と同時に、地震計による歪観測で、空間パターンを検出し、カップリングの影響判断のための新たな情報として加える。また、これまでは単純に振動の入力に対するケーブルの応答のみを考慮していたが、DAS観測で得られる物理量である歪は、振動の入射方向に敏感であるため、この情報も用いることで、地下に敷設された光ファイバーケーブルの状況を推測する手法を拡充させる。
|
Causes of Carryover |
DAS観測を実施する年度が後ろにずれたため、未使用額が生じた。未使用額の大部分はDAS観測により使用予定である。
|
Research Products
(2 results)