2023 Fiscal Year Research-status Report
切欠き疲労試験を行わずに切欠き材の寿命を予測する拡張非相似形等寿命線図法の開発
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23K03570
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河井 昌道 筑波大学, システム情報系, 名誉教授 (90169673)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 複合材料 / 平滑疲労 / 切欠き疲労 / 疲労寿命 / 応力比依存性 / 寿命予測 / 非相似形等寿命線図法 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,CFRPの平滑材の任意の応力比に対するS-N曲線の予測とその結果を利用して切欠き材のS-N曲線を予測する技術について研究し,以下の成果を得た. 1.平滑疲労に関して(1)静的引張強度は静的圧縮強度よりも大きく,これらの比によって定義される臨界応力比の値がRc = -0.736 > -1となることが分かった.(2)引張支配および圧縮支配の疲労波形のいずれに対しても応力比が臨界応力比に近づくにつれてS-N関係の勾配が大きくなることが分かった. 2.平滑材に対して(1)臨界応力比に対する疲労データと静的強度のみを用いる2領域形の非相似形等寿命線図を同定した.(2)臨界応力比Rcに加えて補助応力比R = 0, R=∞の疲労データを併用する3領域形および4領域形の非相似形等寿命線図を同定した.(3)臨界応力比Rcと補助応力比R = 0を用いた3領域形が同定の効率性と予測の精度の観点から最適な非相似形等寿命線図を与えることがわかった. 3.切欠き疲労に関して(1)引張支配の疲労荷重に対して,切欠き寸法に拘わらず,疲労切欠き感度が疲労寿命の増加に伴って静的切欠き感度よりも低くなり,高サイクル域で切欠き不敏感な疲労挙動を呈することが分かった.(2)圧縮支配の疲労荷重に対して,疲労による切欠き効果の低下が引張疲労の場合よりも遅くなる傾向があり,高サイクル域においても切欠きの影響を受けた疲労挙動となることが分かった. 4.(1)切欠き不敏感な静的強度に基づく要素関数を仮定して切欠きに不敏感なS-N関係(切欠き疲労寿命の上界)を,また(2)切欠き敏感な静的強度に基づく要素関数を仮定して切欠きに敏感なS-N関係(切欠き疲労寿命の下界)をそれぞれ予測した.(3)実測した切欠きS-N関係が,応力比に拘わらず,これらの切欠き不敏感S-N関係と切欠き敏感S-N関係の間に挟まれることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載の通り,研究初年度の研究事項をすべて予定通りに実施した.期待した通りの成果が達成できた.研究において開発を進める切欠き疲労モデルの理論的構成について新たな発見があった.この発見によって予定する研究開発をより充実したものにできることを確信した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に記載の通りに進める.研究初年度に予定した研究から期待通りの成果が達成できたこと,ならびに今後の展開を見込んだ研究から切欠き疲労モデルの理論的構成について重要な新発見があったことから,予定する研究内容と進め方が妥当なものであることを確信している.新しい発見を考慮して推進する研究の成果は関連分野に大きなインパクトを与えるものとなることが期待される.
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Causes of Carryover |
旅費の節約により次年度使用額が生じた.次年度海外出張費の補填に利用する予定である.
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