2023 Fiscal Year Research-status Report
3D造形による熱可塑性CFRPの革新的高効率資源循環に向けた特性発現・劣化機構解明
Project/Area Number |
23K03585
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白須 圭一 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20757679)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 3D造形 / 熱可塑性CFRP / 溶融・固化 / ヤング率 / マイクロメカニクスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、3DP-CFRTPを繰り返し造形することによる母材樹脂の結晶化度・分子量および3DP-CFRTPの力学特性の劣化メカニズムを明らかにし、リサイクル造形による特性劣化抑制のための3DP-CFRTP造形ガイドラインを構築することである。 2023年度は、3D造形用の短炭素繊維/ポリアミド6(PA6)複合材料フィラメントに対して溶融・固化プロセスを繰り返し与え、複合材料フィラメントの物性劣化挙動を評価した。溶融・固化は10mm程度に裁断した複合材料フィラメントをフィラメントエクストルーダーに投入することで行い、得られたフィラメントを引張試験の供試体および次の溶融・固化プロセスの原料に用いた。 複合材料フィラメントの溶融・固化プロセスを5回繰り返すと、繊維長の減少とフィラメント内での繊維配向分布の乱れが大きくなる傾向が認められた。その結果、フィラメントの引張試験より、複合材料フィラメントのヤング率が低下した。 この結果を考察する目的で、マイクロメカニクスモデルを用いた複合材料フィラメントの等価剛性を計算した。実験で得られた繊維長および繊維配向分布を計算モデルに入力したところ、溶融・固化プロセスを繰り返すことによるヤング率の低下の挙動を再現することができた。このことから、溶融・固化プロセスを5回まで繰り返すことによる複合材料フィラメントのヤング率の低下は、主に繊維長の減少と繊維配向分布の乱れに起因していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画に対して、研究実績の概要で記載した成果を挙げることができており、おおむね順調に進展していると判断している。複合材料フィラメントに対して実験と計算でヤング率の変化を評価することができた。一方、3Dプリンタを用いたクーポン試験片の作製は、次年度に検討することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は溶融・固化プロセスを5回まで繰り返した複合材料フィラメントに対して評価を行った。今後は、さらに溶融・固化プロセスを繰り返し、母材樹脂の劣化挙動を明らかにしたいと考えている。また、作製したフィラメントを用いたクーポン試験片の3D造形についても検討していく。
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