2023 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブル板厚制御鋼管を用いた衝突変形部材の開発
Project/Area Number |
23K03608
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
窪田 紘明 東海大学, 工学部, 講師 (30845920)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 自動車構造部材 / ハイドロフォーミング / 板厚制御 / 域差潤滑 / 時間差潤滑 / 強制潤滑 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は強度/剛性を持たせやすい鋼管に対して板厚分布を部材内で自在に制御可能な成形技術を開発してきた.即ち,潤滑剤を部位毎・時間毎に金型と管材の間に注入することで成形品の板厚分布を自在に制御する独自のハイドロフォーミング技術である.本申請の研究では,開発した成形技術の衝突変形部品への適用可能性を検討している. 本年度は実験装置能力を考慮して比較的低強度の機械構造用鋼管STKM11Aを用いて加工原理の確認を行った.その結果潤滑剤供給タイミングを変更することで板厚分布を自在に制御可能である(最大20%の板厚変更が可能)ことを確認した.また潤滑剤供給を途中で停止させる制御方式と,途中で開始する制御方式を比較したところ前者の板厚制御性が高いことを明らかにした.即ち条件によって,平面部の板厚を増したり,稜線部の板厚を増したりすることができる. また,従来は成形性の評価が主目的であったため短い300 mmの鋼管が成形可能な装置と金型で検証を進めてきた.本申請の研究では衝突変形を模擬した圧縮曲げ試験を実施するために長さ500 mmの鋼管に対応可能な金型を開発し,目標最高圧力の70 MPaまで安全に到達可能であることを確認した. さらに,有限要素法(FEM)を用いた衝突変形解析の結果,高強度薄板材料に対しては,稜線部の肉厚が厚く平面が薄い場合に部材強度が高くなる傾向を見出した.一方で,低強度厚板材料に対しては平面部の肉厚を厚くした場合に強度が高くなった.即ち強制潤滑ハイドロフォーミングによって肉厚を制御することで,衝突変形部材の強度を制御できる可能性を示した. 来年度は実験による実証を予定している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り実験実証に対応可能な長さ500 mmの鋼管が成形可能な金型の開発が完了した.また有限要素法解析(FEM)により実験の予備検討を実施し,次の実験の段階に進める目途を得た.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究において衝突変形を模擬した圧縮曲げ試験を実施するために長さ500 mmの鋼管に対応可能な金型を開発し,目標最高圧力の70 MPaまで安全に到達可能であることを確認した.今後この金型を用いて時間差潤滑実験を行い板厚分布が制御可能であることを確認する. また,有限要素法(FEM)解析を用いた衝突変形解析の結果,高強度薄板材料に対しては,稜線部の肉厚が厚く平面が薄い場合に部材強度が高くなる傾向を見出した.今後は,上記金型で成形した部材の実測板厚を考慮したFEM解析を実施し,そのメカニズムを明らかにする. さらに,上記金型で成形した部材を用いて,衝突変形を模擬した圧縮曲げ試験を実施する予定である.
|