2023 Fiscal Year Research-status Report
軟質金属含有硬質炭素膜表面の軟質金属自己滲出を利用した高耐久性抗菌テープの研究
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23K03651
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
後藤 実 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00435455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島袋 勝弥 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70618446)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 抗菌テープ / ナノ複合膜 / 銀 / 銅 / トライボロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、銀(Ag)および銅(Cu)を添加した軟質金属含有ダイアモンドライクカーボン(SMe-DLC)を市販のポリイミド(PI) 製粘着テープに成膜し、Ag-DLCおよびCu-DLCとポリイミドテープの付着強度を調査した。また、参照試料として抗菌性を示さない金(Au)を添加したAu-DLCの成膜も行った。SMe-DLC の成膜には、申請者が独自に考案した同心円複合ターゲット(CCT)を用いた高周波マグネトロンスパッタ法により成膜した。その結果、AgまたはCu含有量が20at.%台のとき、エタノール洗浄したSi(100)基板上に成膜したAg-DLCおよびCu-DLCには成膜時の内部圧縮応力に伴う膜のき裂と剥離が認められたが、同様の洗浄レベルのPIテープ上の膜には剥離は認められなかった。但し、成膜時のPIテープの拘束条件により膜表面の亀裂が発生する場合が確認された。但し、定性的評価法の確立については今後の課題である。 また、SMe-DLC 表面の抗菌評価については、細菌の発育阻止帯である培地上のハローの有無によりPIテープ上に成膜したAg-DLCおよびCu-DLCの抗菌性能の定性的評価を行った。その結果、Cu-DLCの周囲には明確なハローは認められなかったが、Ag-DLCの周囲には明確なハローが認められた。引続き次年度は抗菌性の定量評価を行う。 SMe-DLC を軟質ゴムで摩擦したときの抗菌機能耐久性評価については、既存の摩擦摩耗試験装置のスライダー部を直径6mm長さ20mmのシリコンゴム円柱が取付可能な形状に改造するための設計を行った。次年度は摩擦試験を実施し、抗菌耐久性評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PIテープ上へのAg-DLCおよびCu-DLC成膜は予定通り実施できたが、PIテープ上におけるAg-DLCとCu-DLCの付着強度の定量評価は予見していなかった困難により停滞している。また、抗菌性評価については定性的評価に留まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定したJIS Z2081に準拠した抗菌性評価は1回当たりの評価時間が非常に長いために多数のサンプルを短期間で調査することが困難であるため、比較的定量性が高くかつ評価時間が短い方法を検討し、高精度評価を行うサンプルのスクリーニングを進めていく。人の手指による摩擦を模擬した抗菌耐久性評価は、設計したシリコンゴムスライダーの製作を行い、摩擦回数と抗菌性の変化および抗菌性の回復の有無について明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
人の手指との摩擦を模擬した摩擦試験を行うための装置改造およびスライダーのための設計検討、抗菌性の定量評価のスクリーニング法の策定およびPIテープ上における付着強度評価法の確定が難航したため、それらの装置製作費用の未執行分が増えたため。これらの設計検討結果を令和6年度の各装置作成費へ反映させる。 また、海外で開催される国際会議への参加が無かったため旅費の執行が減少したが、令和6年度はフランスで開催されるLeeds-Lyon Symposium on Tribologyにて成果発表を行う予定であるため旅費が嵩む予定である。
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