2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K03657
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
辻本 公一 三重大学, 工学研究科, 教授 (10243180)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Machine learning / Active control / Free jet / Impinging jet / Multiple jet / Mixing / Heat transfer / DNS |
Outline of Annual Research Achievements |
衝突噴流の伝熱性能の向上のため、13本の多重衝突噴流を間欠的に噴出する制御について噴流間距離、間欠周期を変えて制御を行い、噴流間に生じるよどみ領域での伝熱性能が制御を行ったすべての条件で向上することを確かめていたが、間欠制御が非定常で複雑な流れ場構造を形成するため、位相平均場の解析を行った。その結果、制御パラメータに従って流れ場は大きく変化するが、衝突壁面上での高伝熱領域の発生は噴流による大規模構造の衝突に強く依存しており、間欠制御自体が伝熱性能向上に大きく寄与していることを明らかにした。さらに衝突面上の伝熱特性均一化のため、噴出角度を変化させ衝突面上を掃引するスイープ噴流について噴出角度を周期的に変化させた結果、噴出角度が大きくなるにつれ、噴流の広がりが大きくなり、衝突点の中心に低速領域が発生し、同時に高伝熱領域が拡大することを明らかにした。また、自由噴流の混合性能を向上するため、2本の自由噴流を間欠的に噴出させる制御を行った。間欠的な噴出に伴い強い渦輪が発生すること、噴流間距離が短い場合、この渦輪どうしの干渉が強くなり、噴出方向と直交する方向へ噴流が分岐することで著しい拡散が生じることなど、多重化した自由噴流においても間欠制御が有効な手段となることを明らかにした。 さらに2次元噴流の場合について、噴流をはばたかせることで混合を向上させるため、噴流の傍に副噴流を2つ配置し、下流での圧力差を感知して副噴流の出力を変化させるフィードバック制御を行った。これまでに行われた低レイノルズ数(Re=100)の場合に対し、高いレイノルズ数(Re=1500)で制御特性を評価した結果、噴流の巻き込み流量で評価する混合性能については低レイノルズ数に比べ、混合性能の向上割合は減少するがフィードバック制御により高レイノルズ数でも優位な改善が図られることを確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
深層強化学習(DRL: deep reinforcement learning)により工学機器における混合・伝熱に対する噴流の動的制御方法を開発する上で、(i)DRLを適用する制御手法の開発と(ii)高レイノルズ数化と3次元流れ場に適用できるDRLのスキーム開発が課題である。(i)に関して、噴流による混合・伝熱の向上に関する有望な手段として、間欠的に噴流を噴出させる間欠制御を多重衝突噴流に適用し、伝熱性能が大きく改善されること、位相平均の評価により間欠制御が有効に機能することが確認できること、複数噴流を配置する多重自由噴流でも間欠制御により大幅に拡散性能が向上できることなど、DRLによる最適化を行う上で間欠制御が有効で、間欠制御を適用した場合において制御の有効性を引き出す幾何学的パラメータや周波数特性を明らかにした。さらに伝熱の均一化に寄与するスイープ噴流の場合についても検討を広げ、スイープ噴流の特性について調査、間欠制御に加えDRLを適用する有望な制御手法を見出した。(ii)に関して、これまでに対象とされてきたDRLによる流れ制御での多くは低レイノルズ数流れでかつ2次元場が対象とされてきた。本研究では、低レイノルズ数から脱却し、レイノルズ数を上げかつ3次元場でのDRLのスキーム開発を目指している。開始年度として、噴流混合についてレイノルズ数を上げたフィードバック制御を行った結果、DRLに準ずる閉ループ制御により噴流混合について一定の制御効果が得られること、また、DRLの性能比較するための開ループ制御だけでなくフィードバック(閉ループ)制御の結果との比較にも道を開き、今後のDRLの性能を多面的に評価する準備が整えられた。以上から、次年度へ繋がる有意義な結果が得られていることから総合的に(2)と判断した 。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、(i)DRLを適用する能動制御手法の開発と(ii)高レイノルズ数化と3次元流れ場に適用できるDRLのスキーム開発が課題である。(i)に関してはDRLに向け開発した間欠制御やスイープ噴流による混合・伝熱性能をさらに向上させる方法として、多重噴流の各噴流ごとに周波数を変調する方法が性能向上に大いに寄与する可能性を研究遂行中に見出したことから、多様な周波数変調下での制御特性を評価する。このように効果的な制御手法を引き続き検討し、DRLを適用する制御方法の拡充を図る。(ii)に関しては、DRLでは、流れ場の状態を判断しながら報酬を最大化する行動を選択することを学習することとなる。本研究において報酬は例えば定量化された混合性能、伝熱性能、均一化の指標が該当し、行動は例えば周期等の制御入力といった能動制御のパラメータが該当する。これらパラメータは比較的少ないデータ量であるが、流れ場の状態は流れ場から抽出される観測データがそれに該当し、観測データ量を多くすると過学習が生じ制御の柔軟性が失われる。また制御に対して応答しない箇所の情報は不要であることから流れ場の本質的な情報抽出には低次元化の導入が有効である。また、3次元化に対しても流れ場を代表できる少数自由度のデータ取得で学習を安定に収束させることが不可欠である。この課題に対し本研究では、時空間方向への簡便なフィルタリングによる低次化から、POD( proper orthogonal decomposition)法やDMD(dynamic mode decomposition)法による低次化技術を取り入れて、状態を決定する独自のDRLスキームを検討する。取り扱うレイノルズ数が数千程度の2次元の多数噴流の混合・伝熱問題から開始し、3次元化への方法論の確立へ展開する。
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Research Products
(7 results)