2023 Fiscal Year Research-status Report
Multiscale modeling of electrochemical reactions in solid oxide cell electrodes
Project/Area Number |
23K03707
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
志村 敬彬 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (70814143)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / 固体酸化物形電解セル / 三次元電極微細構造 / スピンコート / 粒界 / 電気化学計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ni-YSZ電極においては,三相界面が主な反応場として考えられ,体積当たりの三相界面密度が重要であると考えられているが,電極構造の微細化に伴い,有効な三相界面幅の影響が支配的になると考えられる.また,粒子同士の粒界は,吸着反応等が起こりやすいことが報告されているが,コンポジット電極では粒界の影響の評価は難しい.そこで,電極反応に粒界が与える影響を,YSZ電解質表面の構造を修飾することで検証した. 計測は電解質支持型のセルを用いた.8YSZペレット表面に,スピンコートにてYSZ粒子を塗布した.YSZ粒子は,平均粒径の異なる2種類の粉末を使用した.粗い粒子は,ペレット作成に用いたものと同じ粉末であり,細かい粒子は同じイットリア濃度の他社製のものである. 塗布するYSZペレットは,機械研磨面と鏡面研磨面の2種類とした.スピンコート後,焼結温度は1450℃,1500℃の2種類で行った. 焼結後の表面を電子顕微鏡で観察した.適用した2種類の焼結温度,および粒子径は,最終的な表面構造にはあまり影響しないことが分かった.機械研磨面に塗布した場合は,機械研磨由来の凹凸が目立つが,鏡面研磨面の場合は,塗布したYSZ粒子面のみの粗さが支配的な構造となった.この結果を踏まえ,ペレットと同じメーカーのYSZ粉末を鏡面研磨面に塗布することで,表面の粒界密度を変えた構造を作成した. セル試験を行うために,YSZ塗布後の面にNiOスラリーをスクリーン印刷し,Ni電極を作成した.これにより,三相界面は電極/電解質界面付近のみに存在し,YSZの粒界の影響を評価することが可能となる.空気極はGDC中間層を有するLSCF電極とした. セル試験の結果,高加湿雰囲気において,特に電解運転においてYSZ表面修飾をすることで,過電圧が低下することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
YSZ粒界が電極反応に与える影響に関して,スピンコートを用いることで電極/電解質近傍の粒界密度を変更し,過電圧から粒界の影響を評価することができた.電解モードにおいて特に影響が大きいという興味深い結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
スピンコート以外の方法でも,電解質表面の粒界密度を変更し,電極反応に与える影響を評価したいと考えている.具体的には,スパッタ,パルスレーザー堆積法を考えている.また,ナノスケールのコンポジット電極を用いた実験を行い,三相界面の影響の評価を行いたいと考えている.
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Causes of Carryover |
当初,計算機の導入を考えていたが,実験を優先して進めることにしたため,2023年度の購入は見送った.また,実験に関しても,所属組織所有のものを使用することで実験が可能であった.2024年度より所属機関が変わったことに伴い,使用用途は.今後の研究の発展のために,主に実験面において,新たな電極構造の作成のための装置導入などに用いたいと考えている.
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