2023 Fiscal Year Research-status Report
地球環境問題の解決に貢献する海水における二酸化炭素の物質輸送特性の解明
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23K03714
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
劉 秋生 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80294263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴原 誠 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (70628859)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 物質移動 / 溶解度 / ヘンリー定数 / 溶解拡散過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
海水における二酸化炭素の物質輸送特性を解明するため,本研究では,最大4 MPa の圧力および277 K から298 K の温度範囲で収集したデータから海水中の二酸化炭素(CO2)の溶解度を求めた。測定方法が吸収に伴う圧力変化による測定法である。CO2 のモル分率溶解度は,2.0 MPa~4.0 MPaの圧力で10のマイナス2乗のオーダーとなっている。圧力が増加すると溶解度は増加し,温度が増加すると減少する。CO2のヘンリー定数は,圧力が3.0 MPa,温度が283 Kの海水では 240 MPaで,圧力が4.0 MPa,温度が298 Kでは390 MPaであった。最大4.0 MPaまでの種々圧力範囲での実験データを用いて,海水におけるCO2 のヘンリー定数の相関式を求めた。また,溶解拡散容器及びCO2気泡発射器を用い,単一CO2気泡の溶解拡散過程を観察し,純水におけるCO2気泡の溶解時間を測定した。具体的に溶解拡散容器には2つの石英ガラス製の観察窓が取り付けられており,高速CCDカメラより気泡径の経時変化を観察・測定することができる。発射器のCO2容器内の圧力と水の入った容器内の水の圧力との圧力差を精密差圧計により計測した。さらに,容器内の圧力は歪み式圧力センサーで測定し,液体の温度はKタイプシース熱電対で測定した。なお,容器内の温度を制御するために容器内には,ステンレス製冷却コイルが内蔵されており,低温恒温槽 の冷却液を循環させることにより容器内の温度を制御している。容器上部にはマグネット式攪拌装置が取り付けられている。種々圧力・温度条件下における水への気泡溶解時間から,圧力,温度のパラメータの影響を調べた。水の温度の上昇に伴って気泡の溶解時間が短くなり圧力が高いほど溶解時間が短くなる傾向が見られた。また,初期気泡径が大きくなると,溶解時間も長くなることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メーカー様からの精密差圧変換器の納入に遅れがあった。また,溶解拡散容器に使用していたマグネット式攪拌機の故障により修理に時間がかかったことも影響した。現在装置が大部改善できており,おおむね順調に進めている。実験データを収集しそれらの研究成果をまとめて,学会で発表される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後令和5年度の研究内容に続き,広範囲における実験データの収集を行い,海水へのCO2単一気泡の溶解拡散過程における種々パラメータの影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
昨年度では,予定していた国際会議の参加が日程の都合で取りやめたことから,研究費の一部が翌年度に繰越すこととなった。 (使用計画)翌年度の研究と合わせて成果発表の旅費や実験計測用品及び実験消耗品などの購入に当てることを計画している。研究計画に特に変更がない。
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