2023 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of Driver States Using a Single Inertial Sensor
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23K03743
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
秋月 拓磨 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40632922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 弘毅 東京都市大学, デザイン・データ科学部, 教授 (40419693)
荒川 俊也 日本工業大学, 先進工学部, 教授 (50631248)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 手先加速度 / 到達運動 / 手先位置 / 運転行動推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ドライバの安全運転支援を目的として、単一の慣性センサを用いて、運転中の不安全行動の発生や注意力状態を正確、かつ簡便に把握する手法の確立に取り組む。目的達成に向けて、本年度は先行研究(19K14924)の成果をもとに、(1)運転行動推定の精度改善のための特徴量の検証、ならびに、(2)実車上での運転行動データ収集に向けた実験デザインの検証、の大きく2項目に取り組んだ。前者については、手首部に装着した慣性センサデータから、手先の位置・姿勢を推定する手法を構築した。推定結果からステアリングの把持位置を原点とした際の手先の移動距離を特徴量とすることで、運転行動の推定精度を改善できることを確認した。後者については、車載型の計測装置を利用したデータ収集の手順および安全対策を検証し、計測実験の実施準備を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項で述べた通り、2023年度は(1)運転行動推定の精度改善のための特徴量の検証、ならびに(2)実車上での運転行動データ収集に向けた実験デザインの検証、の大きく2項目を実施した。
(1)について、先行研究では手先加速度波形の平均・分散といった極めて基本的な特徴量を行動推定に利用していた。そのため、手・腕の動きが比較的小さな行動(例えば、「ナビ操作」や「片手運転」の行動クラス)の推定精度に課題があった。そこで、手先加速度の変化だけでなく、手先の位置・姿勢情報を加味することで推定精度の改善を試みた。具体的には、手(例えば左手)をステアリングからナビ画面や膝上へと移動させる際の手先の動きを、滑らかな到達運動と仮定し、移動に伴う手先加速度の波形を多項式近似する。この多項式を解析的に積分した結果から、手先の移動距離を求める。ドライビングシミュレータ上の模擬動作を対象に検証実験を行なった結果、手先の移動距離を約5 cm以内の誤差で推定できることを確認した。また、推定した移動距離を特徴量とすることで、前述の「ナビ操作」や「片手運転」の行動クラスの推定精度を改善できることを確認した。本研究成果は、国際会議ICICIC2023にて発表を行なった。
(2)については、手首装着型センサを利用して実環境下で運転行動データ収集を行うための車載計測システムを開発した。本計測システムは、必要な測定機器一式を実験参加者に貸し出して、参加者自身がシステムを操作してデータ収集が行えることを設計要件の一つとした。本計測システムを利用した計測実験の手順を、機器の貸出から設置、記録、回収の各段階における安全対策とともに検討し、当該内容について、研究代表者の所属大学における倫理委員会の承認を得た。次年度に計測実験を順次行う。 以上の内容から、本課題の調査は当初計画に対しておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、前年度の成果をふまえて(1)実車上でのデータ収集、ならびに(2)収集したデータに対する運転行動推定の検証を行う。
(1)については、2023年度までに設計した実験デザインをもとに、20-50代の年齢層の男女を対象に、できる限り偏りのないように実験参加者を募り、合計20名程度を目標として順次計測実験を行う。
(2)については、前述(1)で収集した手先加速度のデータに対してラベリングを行い、運転行動内容の推定実験を行う。車両振動などの手の動き以外の振動成分が、ドライバの運転行動の推定や心的状態の変化検出に及ぼす影響を調査する。また、これらの実験・検証の効率化のために、信号処理および深層学習を含む機械学習アルゴリズムのパイプライン処理用のGPUデバイスを導入し、演算能力の高い計算機環境を整備する。
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Causes of Carryover |
当初計画にて調達を予定していたデータ記録装置などの一部の物品について、安価な同等品で代替えすることができた。そのため、当初計画より経費の節約ができた。当該年度の未使用額については、当初計画にて予定している次年度の計算機環境の整備のほか、物価高騰に伴う物品費、ならびに研究用ソフトウェア保守費の値上がりへの対応にそれぞれ充当する予定である。
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