2023 Fiscal Year Research-status Report
電場応答型ペーパーアクチュエータを用いたマイクロ流体素子の開発
Project/Area Number |
23K03769
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中住 友香 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (80738021)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 雄介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (90452135)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | アクチュエータ / ゲル / 接着 / 導電性高分子 / マイクロ流体素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フレキシブル電極として導電性高分子を採用した全てが有機物から構成される電場応答型・超薄膜ペーパーアクチュエータを、折り紙のように折り曲げたり、切り込みを入れたりすることで、アクチュエータの駆動様式を3次元的に空間デザインすることを可能にする。また、形状や駆動様式がデザインされたペーパーアクチュエータをマイクロ流路中に設置することで、バルブ・ミキサー・物質輸送可能な繊毛アクチュエータなどのマイクロ流体素子の実現を目指す。本年度は、低電圧で駆動する超薄膜ペーパーアクチュエータの作製方法について検討を行った。フレキシブル電極として採用したPEDOT/PSS薄膜を作製するため、PEDOT/PSS水溶液を乾燥させる工程について検討を行った。乾燥によって作製したPEDOT/PSS薄膜同士を絶縁性の高分子溶液で接着させることで、キャパシタ構造を有するペーパーアクチュエータの構築が可能なことを確認した。このように構築されたアクチュエータは低電圧を印加することで、駆動させることが可能であった。このように作製されたペーパーアクチュエータは、強度や発生力が弱いため、その改良に着手した。絶縁層に強度のある高分子薄膜を採用することで、ペーパーアクチュエータの強度が増すとともに発生力も増大することが分かった。今後は、絶縁層となる高分子素材の最適化を図るとともに、PEDOT/PSS薄膜と絶縁層との接着性を向上させるような検討を行っていく予定である。また、強度が向上したペーパーアクチュエータに切り込みや折り目をつけることで、アクチュエータの駆動様式を3次元的に空間デザインしていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、電場応答型ペーパーアクチュエータのフレキシブル電極となるPEDOT/PSS薄膜の作製方法を検討するとともに、キャパシタ構造の絶縁層となる高分子素材について検討を行った。絶縁性の高分子薄膜を採用することで、ペーパーアクチュエータの強度と発生力を向上させることに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度では、PEDOT/PSS薄膜の間に強度の高い高分子薄膜を挟み込むことで、キャパシタ構造を有する電場応答型ペーパーアクチュエータの強度と発生力を向上させることができた。現状で絶縁性の高分子薄膜とPEDOT/PSS薄膜の接着強度が弱いため、今後は接着性を向上させることで、より安定性の高いペーパーアクチュエータの確立を目指す。また、強度や発生力が向上した電場応答型ペーパーアクチュエータをマイクロ流体素子として応用可能にするため、アクチュエータ素子に切り込みや折り目を入れることで、その形状をコントロールするとともに駆動様式を3次元的に空間デザイン可能とすることを目指す。
|
Causes of Carryover |
本年度は電場応答型ペーパーアクチュエータの強度や発生力向上のための検討に時間を要したため、次年度使用額が生じた。今後は、強度や発生力が向上したペーパーアクチュエータの駆動様式を精密に評価可能な計測システム等を構築する必要があり、その構築費用等に予算を使用する予定である。このような計測システムを応用することで、本研究をさらに発展させていく予定である。
|