2023 Fiscal Year Research-status Report
脳波解析を利用したストレス評価モデルによる使用者の好みに即した操作特性の調整法
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23K03774
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
濱口 雅史 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (30273329)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 操作特性 / ストレス評価 / 脳波解析 / ニューラルネットワーク / 嗜好性 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭部に電極を取り付けて脳波を計測するが,どの測定点がストレスと強い相関があるかを調べた.文献調査と予備実験によって,候補となる測定点5カ所を選定した.被験者には,ジョイスティックコントローラによって全方向移動ロボットを操縦してもらった.走行経路は,曲がり角のある狭い一本道とした.操作性に関係するパラメータ値を様々に変えて被験者にロボットを操縦してもらい,ロボットの動作が遅いを「1」,丁度よいを「4」,速いを「7」とする7段階で操作性を評価してもらった.評価値が「4」から離れるほど被験者を大きなストレスを感じていたことになるので,ストレス度を「操作性評価-4」の絶対値として定義した.5カ所の測定点における脳波のベータ波帯域(14~30Hz)のパワースペクトルと,信号の複雑度を示すサンプルエントロピーをそれぞれ算出し,これらの値とストレス度の間の相関を調べた.なお,ベータ波は覚醒状態や集中時,緊張時に出ている脳波である.その結果,ベータ波帯域のパワースペクトルよりもサンプルエントロピーの方が高い相関を示していることがわかった.これにより,今後は脳波のサンプルエントロピーを用いて解析すれば良いことが判明した. 現時点では,まだ被験者数が少ないため,被験者数を増やし,ストレス度と高い相関を有する脳波の測定点の絞り込みを行う.2~3カ所の測定点での脳波からストレス度を評価することできれば,脳波の時系列データからストレス度を推定するモデルの精度を高めることができると考える.ストレス度を推定するモデルの構築には,ニューラルネットワーク(NN)を用い,実験データを与えて学習させることにより,高精度のストレス推定モデルを得ることができると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的は,「脳波解析によってストレス値を定量的に評価する方法を確立する」であった.研究実績の概要で記した通り,脳波のサンプルエントロピーによってストレス値を評価することができるとわかったので上記の区分とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は以下の通りである. ①被験者数を増やし,よりストレス値との相関度合いの高い脳波の測定点の選定を行う.ジョイスティックコントローラの操作波形と脳波を記録する.また,アンケートからストレス値を算出する. ②操作波形からストレス値を推定するニューラルネットワーク(NN)を構築する.NNの学習に,前述の①で取得したデータを使用する.各操作パラメータに対して,操作波形を入力,脳波から算出したストレス値を出力とする学習用データを用い,NNの教師あり学習を行う.操作波形は時系列データであるので,時系列データを扱うことができるリカレントニューラルネットワーク(RNN)を使用する.これにより,操作波形からストレス値を推定するストレス評価モデルをRNNで構築する. ③操作パラメータの更新量を出力するRNNを構築する.RNNの学習には,前述の①で取得したデータを使用する.このRNNを使用し,学習用データの被験者以外の者に対しても操作パラメータの調整実験を行い,本手法の有効性を明らかにする.
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Causes of Carryover |
当初に取得した見積額から金額が変更されたものがあったために差額が生じた.しかし,その額は1万円未満であり,当初の予定通りに執行できたものと考える. 次年度以降は,差額分で消耗品を購入し,当初の計画通りに使用する予定である.
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