2023 Fiscal Year Research-status Report
ゲート駆動回路とGaN HEMTの単一集積化による高速化と低ノイズ化の両立
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23K03793
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
古田 潤 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (30735767)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | GaN HEMT / 集積化 / ゲート駆動回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代パワー半導体であるGaN HEMTはスイッチング速度が非常に速いため、ON/OFFの切り替え時の電圧変化が早く、クロストークノイズに脆弱な問題がある。この問題の解決方法として、GaN HEMTとゲート駆動回路の単一集積化が注目されている。しかし、GaN HEMTにはp型スイッチング素子が存在しないため、n型HEMTや抵抗を用いてパワー半導体をプルアップする必要がある。2023年度にはプルアップを少ない素子で、かつ安定したゲート電圧を供給する手法の提案を行った。 ディスクリートのGaN HEMTを用いて提案するゲート駆動回路を構成し、従来のゲート駆動回路との比較を行った。提案するゲート駆動回路ではパワー半導体をプルアップするn型GaN HEMTのソース端子を5V電源の方に接続している。そのため、従来のゲート駆動回路とは異なり、ブートストラップを用いずにパワー半導体のゲート電圧を5Vに上昇させることができることを確認した。プルアップにブートストラップ構造を利用する従来のゲート駆動回路と同等の立ち上がりや立下りの遷移時間を実現し、スイッチング速度にデメリットなく、ゲート駆動を実現できることを確認した。 パワー半導体を複数用意して並列接続することによる電流定格の増加を行う場合、次世代パワー半導体であるGaN HEMTではゲート駆動回路を個々に用意してパワー半導体のスイッチング速度のばらつきを抑制する必要がある。そのため、従来のゲート駆動回路ではブートストラップ回路がゲート駆動回路ごとに必要となる。しかし、提案するゲート駆動回路ではブートストラップ回路が不要なため、部品点数や面積を抑制できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
円安の影響や割り振れられた金額の削減の関係でGaN ICを試作するための費用を1年目には確保できなかった。1年目の研究費の使用量を抑制して繰り越し、2年目の研究費と合算してGaN ICの設計費用に充てることにしたためである。IMECとの打ち合わせにより2024年の6月にGaN ICを5mm角の面積を使用して設計することとなった。これは当初の予定の面積の2倍に相当するため、研究の遅れは2024年中に解消できると予想する。
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Strategy for Future Research Activity |
予算の関係で1年目で行えなかったGaN ICの設計を行う。GaN HEMTを用いて提案するゲート駆動回路とパワーGaN HEMTの単一集積化GaN ICを設計し、6月にテープアウトを行う。また、提案ゲート駆動回路ではパワー半導体の並列接続による大電力化を行う場合に、メリットが大きいことが判明したため、GaN HEMTの並列化した電力変換回路を作成し、従来のゲート駆動回路との比較を並行して行う予定である。
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Causes of Carryover |
円安などの影響でGaN ICの製造費用が大きくなったため、1年目の研究費では設計が不可能となった。2年度に繰り越してGaN ICを設計することを計画している。
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