2023 Fiscal Year Research-status Report
周波数分散性と異方性がある不均一媒質を含む無線電力伝送システムの回路モデリング
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23K03812
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
羽賀 望 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50638476)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 定導電率誘電体 / 散乱問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は,無線電力伝送システムの回路モデリングを目的として,インピーダンス展開法という独自の回路モデリング手法を提案し,無損失の誘電体・磁性体を扱えるように拡張してきた.本研究は,このインピーダンス展開法を周波数分散性・異方性がある不均一媒質を扱えるように拡張することを目的としている.この新たに扱おうとする媒質のうち,異方性媒質と不均一媒質については,体積積分方程式に基づいた定式化とプログラムの実装が必要となるため,従来の方法からの大幅な拡張が必要となる.一方,周波数分散性のみを考慮する場合は,これまでに採用してきた表面積分方程式に基づく方法を基にした拡張で対応できるため,まずはこれについて取り組むことを計画していた. 導電率が一定の誘電体も,波動インピーダンスと位相速度が周波数に依存するため,分散性媒質の一種と捉えられる.この定導電率誘電体を扱うための拡張については以前より検討を進めており,拡張された手法の適用可能範囲を明らかにした上で,海水中の無線電力伝送システムの回路モデリングに適用した.その内容を査読付き論文誌に投稿した結果,条件付採録の判定となったため,修正した論文を再投稿し,現在2回目の査読中となっている. また,インピーダンス展開法の新たな応用方法を開拓する目的で,低周波電磁波の散乱問題への適用を試みた.その結果,散乱電磁界の周波数特性を高速に計算できるようになった.その結果を国内学会の講演会に投稿して採録されたため,近々講演を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度であるR5年度に群馬大学から豊橋技術科学大学に異動したため,講義の準備や研究室の立ち上げなどに労力を振り向けざるを得ず,本研究の遂行に十分な時間を割くことが難しかった.科研費助成事業を支えて下さっている国民の皆様に対してはお詫び申し上げ,体制の立て直しを図っていく所存である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり,引き続き表面積分方程式に基づく方法を拡張し,誘電率や透磁率に周波数分散性がある媒質を扱えるようにしていく予定である. それが完了したら,体積積分方程式に基づく方法を導入し,異方性を有する不均一媒質を扱えるように,インピーダンス展開法の更なる拡張を行なっていく.
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Causes of Carryover |
R5年6月に投稿した論文の査読が長引いており,見込んでいた論文掲載費が未執行となったことが大きい.また,R5年度から着任した豊橋技術科学大学では英文校正サービスを無料で利用できるため,当初予定した費用も浮くことになった.R6年度は,この浮いた費用を研究備品の拡充に充てる予定である.
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