2023 Fiscal Year Research-status Report
次世代ワイヤレス通信のための電磁界計測場の最適化と理論解析手法に関する研究
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23K03835
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青柳 貴洋 東京工業大学, 工学院, 准教授 (10302944)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リバーブレーションチャンバー / 電磁界シミュレーション / モーメント法 / 有限要素法 / ディエンベッディング / 最適化 / 設計 / 環境電磁工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アンテナの特性測定や電子機器、特に環境電磁工学におけるエミッション(電子機器からの不要な電磁ノイズの放射量)測定やイミュニティ(機器の電磁ノイズへの耐力)測定に活用が期待されるリバーブレーションチャンバー(共振箱、共鳴箱)の解析・設計手法に関するものである。 本年度は研究初年度であるため、まず、研究期間を通じて利用することになる電磁界解析プログラムの開発に重点をおいて行った。特に導体で構成されているリバーブレーションチャンバーに対して有効なモーメント法のコード開発を行い、電磁界分布や電界均一性のシミュレーション計算が行えるようになった。また、誘電体や磁性体を含む構造の電磁界解析を行うシミュレーション手法として有限要素法の実装を行い、概ね電磁界の計算が行えるようになった。これらにより、リバーブレーションチャンバーの計算のための新たな理論的フレームワークである固有関数展開や、モード整合の考え方、さらには数値積分の精度向上などの研究要素を実装してゆくことが可能となった。シミュレーション計算については、現在、研究室のPC(Linux)上でIntel系のライブラリにより高速な計算が行えるよう開発をすすめてきたが、2024年4月に本学のスーパーコンピュータ(TSBUMAME)がバージョン4にアップグレードされることに伴い、大規模計算についても同じコードにて規模を拡大することで計算が可能となる。これらの研究成果の一部については2024年5月の国際会議EMC2024で発表予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究課題については概ね順調に研究が進んでいるといえる。 シミュレーション計算手法および理論的フレームワークについては大きく進捗し、リバーブレーションチャンバーの電磁界を計算するシミュレーション手法であるモーメント法および有限要素法による計算プログラムが概ね完成した。また、理論的フレームワークについても、計算精度を向上させるために必要な固有関数展開のアイデア、数値積分の精度改善手法等を検討し、これらの実装により研究目的を達成させるための準備が整ったといえる。一方で、本研究をすすめる上で重要な実測のための設備については計測機器(ネットワークアナライザ)等が円安により当初予定から価格が上昇、納期も遅延していたため、これらの準備については次年度の早い時期に送ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに、新たなリバーブレーションチャンバー解析手法のシミュレーション計算の基礎となるモーメント法および有限要素法が概ね完成し、また、理論的な枠組みについてのアイデア(固有関数展開、モード整合、数値積分等)を整理した。一方で、これらのシミュレーションを実証するための小型のリバーブレーションチャンバーおよび測定系の構築は次年度の課題となった。 今後は、本学のスーパーコンピュータ(TSUBAME)が4月にバージョン3からバージョン4へアップグレードされたことを受けて、大容量メモリを活用した大規模な計算のためのコード実装をすすめ、実用的なサイズのリバーブレーションチャンバーのシミュレーション計算を行うとともに、数値シミュレーションの精度検証のための実験系の構築をすすめていく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度について、シミュレーション計算とともに、精度検証のための測定系の構築を予定していたが、当初より円安がすすみ測定機材の価格が上昇したこと、また、納期も遅延気味であったため、測定系の構築については次年度以降に行うこととした。また、国際会議発表についても2024年5月に発表を行う予定のため、2024年の経費とした。
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