2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a high precision signal processing method for radar sensing and its application to nondestructive inspection
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23K03883
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西本 昌彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (60198520)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非破壊劣化診断 / 非破壊検査 / レーダ信号処理 / 鉄筋コンクリート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者がこれまで開発してきた各種レーダ信号処理技術のコンクリート非破壊検査・診断への応用を目的とした研究である。位相偏移パラメータおよび機械学習に基づくアルゴリズムによる高精度の診断性能と定量的評価が可能であることを特長としている。初年度は波動信号処理法の開発・改良を中心に、計測信号の位相偏移情報を用いた識別アルゴリズムの改良、およびコンクリート中の腐食鉄筋のモデル化を行った。以下、その概要と成果をまとめる。 (1) 特徴量である位相偏移パラメータは波形変化に対して敏感で腐食度推定の特徴量として適しているが、推定精度をさらに向上させるために、スペクトル分布の異なる3つの入射パルスを用いて位相偏移パラメータを求め、これを3次元特徴ベクトルとする手法を検討した。数値シミュレーションの結果、その有効性を確認することができた。 (2) 腐食鉄筋のモデル化として、より現実的な解析モデルを導入した。これまで腐食鉄筋を一様な誘電体錆層で覆われた金属円柱でモデル化して解析を行ってきたが、鉄筋の腐食は鉄筋の周りの周方向に一様に生じるのではなく、コンクリートの表面側から進行するため錆層は不均一分布となる。このため、より現実的な不均一分布としてフォン・ミーゼス分布を用いた腐食モデルを導入し、その特徴について検討を行った。数値シミュレーションにより分布のパラメータと腐食度の関係、および応答波形との関係について考察を行った結果、不均一腐食分布によって応答波形が大きく変化することが確認された。したがって、不均一腐食モデルの導入により,従来よりも高精度のレーダ応答シミュレーションが可能となることが明確になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね予定通りに進展している。 次年度(R6年度)末までに大まかな成果をまとめられるよう研究を加速させる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を基に、シミュレーションデータの生成と機械学習に基づく識別・診断アルゴリズムの検討を行う。本研究で開発する手法では種々の解析モデルが選択できるため、まず、コンクリート中の骨材の影響など、コンクリートの不均質性の影響について評価を行う。次に、シミュレーションにより機械学習のためのサンプルデータを生成し、提案手法の性能に関する理論的考察を行う。シミュレーションデータを用いた識別・診断性能の定量的な評価により、腐食鉄筋の状態、コンクリートの媒質パラメータの影響、ノイズの影響、ロバスト性などを明確にする。また、本シミュレーションは2次元解析であるが、より現実的な評価のため、3次元でのシミュレーションを行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 機械学習用のシミュレーションデータがどの程度必要かを見積もるのに時間を要したため、今年度はシミュレーション用コンピュータの購入を見送った。 (使用計画) 現有のコンピュータの利用と他大学共同利用のコンピュータも考慮して、シミュレーション用コンピュータの購入を検討する予定である。
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Research Products
(5 results)