2023 Fiscal Year Research-status Report
多自由度パルス変調による非線形システムの制御と高調波抑制
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23K03897
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鈴木 雅康 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (10456692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 光男 宇都宮大学, 工学部, 教授 (50282447)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 多自由度パルス変調 / 三相交流モータ / 終端状態制御 / 高調波抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
スイッチングデバイスを用いた電力変換技術は,省エネルギ性をはじめとする様々な有用性が広く認められ,我々の社会に欠かせないものとなっているが,制御対象は複雑化し,要求性能も高止まりしないため,この技術の進展は常に求められ続けている。報告者らは,高速高精度のモーションコントロールでいまだこの技術が敬遠されている現状の打開を目指し,制御周期内におけるパルス矩形波の幅だけでなく,その数や配置を操作する新しい多自由度パルス変調法を提案して,問題の緩和を図ってきた。本研究では,産業において極めて重要である三相交流モータ(永久磁石同期モータ)の制御問題を念頭に,パルス変調が非線形の制御対象に与える影響の理論的解析,ならびに,高調波抑制を目的に加えた制御系設計論の構築に取り組んでいる。 今年度は,永久磁石同期モータのモータ軸角度の高速高精度位置決めのために,電気・機械エネルギ変換部における非線形性(d-q軸の干渉)の影響を考慮した新たな制御系設計法の開発に着手した。具体的には,フィードフォワード入力設計法として予測ホライズン長が時間とともに短くなる反復型終端状態制御法を提案し,非線形性の影響で生じる位置決め誤差の補償によって,精密な位置決めが達成できることを確かめた。またこれとは独立に,非線形系の大域的安定化を得意とするバックステッピング法を応用したフィードバック制御則を構築し,数値実験を通してその有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,永久磁石同期モータを核とする非線形制御対象に対する多自由度パルス変調の数学的特徴付けと,多自由度パルス変調による脈動・高調波抑制法の開発に同時に取り組んでいる。後者の小テーマについては,多自由度パルス変調によって生成されるパルス列のパワースペクトルを評価変数に含めた,特定周波数成分を抑制する変調則設計問題の定式化をおこなったが,有効な手法提案には至らなかった。したがって,やや遅れている,と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降は,永久磁石同期モータに対して提案しているフィードフォワード入力設計法とフィードバック制御則を組み合わせ,より精密な評価をおこなう。また,定式化した脈動・高調波抑制問題に有効な方法を多自由度パルス変調の枠組みで理論と数値実験の両面から追究する。
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Causes of Carryover |
海外出張がなかった代わりに数値実験に必要となった計算機を購入するなど,使途変更にともなって若干の差額が生じた。論文掲載料や英文校正料として使用予定である。
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