2023 Fiscal Year Research-status Report
無限次元系に対する出力フィードバックゲインスケジュールド制御系設計法の構築
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23K03903
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
増淵 泉 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (90283150)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 無限次元系 / フィードバック制御 / 線形作用素不等式 / 制御系設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,線形作用素不等式による,無限次元次元線形システムに対する出力フィードバック制御則の設計法の構築を目標に研究を行った. 1.線形作用素不等式の性質を調べた.その出発点となるヒルベルト空間 X 上のリアプノフ方程式 PA + A^*P + Q = 0 においては,状態方程式に現れる生成作用素 A が非有界である場合には,エルミート作用素 Q が有界作用素(具体的には恒等作用素)のときエルミート作用素 P が X の中で不可逆になり得る.それに鑑み,本研究では作用素 P, Q および P の逆作用素のいずれか,あるいはすべてが非有界,あるいは,生成作用素 A に関する異なる次数の抽象的ソボレフ空間での有界作用素にとることを検討した.与えられた Q に対して P が存在するための条件や,作用素 P の性質について部分的な結果を得ている. 2.有限次元系においては,出力フィードバック制御則の状態方程式の係数および閉ループ系の二次形式リアプノフ関数を与える行列を未知数とする線形でない行列不等式(不等号は半正定値性の意味)を,変数変換と合同変換を通して,新たな変数についての線形行列不等式に等価的に帰着できる.無限次元系においても,形式上同様の議論ができ,例えば生成作用素 A が有界で,エルミート作用素による二次形式のレイリー商がの下限が厳密に正,上限が有界であることを要請すれば,ほぼ同様の(一部は異なる)結果が得られることを確かめた.他方, A や他の作用素が非有界の場合は,1.で述べたエルミート作用素のクラスとして様々なものが考えられることもあり,変数変換後のパラメータの作用素に関してもその定義域の設定について考察の余地がある.いくつかのケースについて不等式の性質を明らかにしている. 研究課題を進めるにあたり,国際学会,国内学会に参加し,情報収集を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
無限次元次元線形システムに対する出力フィードバック制御則の設計法の構築において,その基礎となる線形作用素不等式の問題設定や性質について,予想以上に多様な場合があり,その考察が道半ばである.
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Strategy for Future Research Activity |
線形作用素不等式に含まれるパラメータの取り方に考察の余地があることがわかったので,そこをより明らかにする.この部分が,本課題全体の結果の質に大きな影響があると考えらえるので,できるだけ妥協せずに取り組もうと考えている.
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Causes of Carryover |
情報収集のため複数の学会に出席したが,予定外に他の経費で賄うことができたため,余剰が生じた.
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