2023 Fiscal Year Research-status Report
軽元素添加による結合状態制御に基づく低磁歪・高透磁率鉄基合金材料の創製
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23K03938
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大竹 充 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (60611415)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 鉄基合金 / 軟磁性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄(Fe)とアルミニウム(Al)もしくはボロン(B)との合金は、高い透磁率と実用レベルの飽和磁束密度を持つため、潜在的に優れた電磁エネルギー変換能力を有する。しかし、純Feと異なり、磁歪が大きいことが、磁気コアへ適用する際の障害になっている。AlとBはいずれも13族元素であり、類似の最外殻電子配置を持つ。そのため、これらの元素がFeの電子状態に影響を及ぼし、磁歪を増大させていることが考えられる。軽元素である窒素(N)は、AlやBと親和性が高いため、Fe-AlやFe-B合金に均質固溶させることができれば、原子レベルでNがAlやBと優先的に結合し、磁歪を低減させる効果があることが期待できる。そこで、本研究では、熱的非平衡プロセスである反応性スパッタリング法を活用して、Fe-AlおよびFe-B合金にNを添加した薄膜試料を作製した。研究初年度である2023年度は、これらの合金薄膜試料の結合状態を調べ、その状態が磁歪特性へ及ぼす効果を調べた。Fe-Al合金は結晶材料であるため、MgO(001)基板上に400 ℃でヘテロエピタキシャル成長させることによりFe-Al-N(001)単結晶薄膜を形成した。一方、Fe-B合金はアモルファス材料であるため、熱酸化Si基板上に室温で成長させることによりFe-B-Nアモルファス薄膜を形成した。これらの結晶構造評価には、反射高速電子回折およびX線回折を用いた。そして、X線光電子分光法による実験結果は、Nを固溶させたFe-AlおよびFe-B合金において、NはAlもしくはBと優先的に結合しやすいことを示すものであった。また、Al-NもしくはB-N結合の形成促進に伴い、磁歪が低減される傾向も認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度で目的を達成するための基本現象を捉えることが出来ており、順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
合金組成や熱処理温度などを変化させることにより結晶構造や結合状態を制御し、そのときの磁歪を含む基本磁気特性を明らかにする。
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