2023 Fiscal Year Research-status Report
インフラの効率的維持管理のためのRCレーダ技術の開発
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23K03990
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田中 俊幸 長崎大学, 工学研究科, 教授 (50202172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 孝文 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (40264204)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 水平ひび割れ探査 / 鉄筋径探査 / 電磁波レーダ / インフラ維持管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
「インフラの効率的維持管理のためのRCレーダ技術の開発」の研究として2つの大きなテーマ① :市販のRCレーダを用いた高性能の鉄筋径の推定手法の開発,② :水平ひび割れを受信できるRCレーダの開発を掲げた. テーマ①の市販のRCレーダを用いた高性能の鉄筋径の推定手法の開発に関しては市販のレーダをレンタルし,その観測データから研究を進める予定であったが,市販のレーダにはブラックBOXの部分が多く,正確な鉄筋径を求めることは困難であると判断し,研究を自作のアンテナとネットワークアナライザを利用した簡易的なレーダ装置を作成して鉄筋からの反射波を受信し,正確な鉄筋径を推定するアルゴリズムを開発することに移行した.そのプログラムを実際のRCレーダに適用することにより,最終目標に到達することになる.今年度は自作のレーダ装置を作成し,通常の鉄筋探査ができることを確認し,放射したパルス波がコンクリート中を伝搬するに際に,伝搬距離に応じてハルス波が広がることを確認した.この研究は遠回りのようであるが,実際には最短に結果を得るための必要な回り道だと考えている. テーマ②の水平ひび割れを受信できるRCレーダの開発に関しては,降雨後のアスファルトの特性変化を明らかにし,降雨後にRCレーダでアスファルトで舗装された道路の安全診断を行なうためには,少なくとも雨が上がって1週間以上の日数が必要であることを明らかにした.また,現在の水平ひび割れ探査システムで必要なデータの距離間隔や周波数間隔について調査した.後半の部分は現在学会発表にまとめているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況を2つのテーマに対して別々に説明する. テーマ①市販のRCレーダを用いた高性能の鉄筋径の推定手法の開発 このテーマは順調に進んでいるとはいえない.当初は最新のRCレーダをレンタルし,現在開発している鉄筋径の推定アルゴリズムに適用予定であったが,電磁波パルスが損失媒質であるコンクリートを伝搬中にパルス幅が広がっていることを確認したので,パルスの広がりの補正を考慮した新たな鉄筋径探査アルゴリズムの開発を行なう予定であった.しかし,市販のRCレーダの初期パルス幅やパルスの時間原点は一般公開されておらず,これらの推定を先に行なう必要が生じた.そこで,自作のアンテナとネットワークアナライザを利用した簡易レーダを作成し,パルス幅の補正アルゴリズムを先に作成することにした.研究を一旦遠回りさせることになるため,研究完成までの期間が長くなることになるが,パルス幅の広がり補正するアルゴリズムが完成すれば,それをこれまでの鉄筋探査アルゴリズムに導入することにより,市販のRCレーダに対しても適用可能な鉄筋探査アルゴリズムが完成できる. テーマ②水平ひび割れを受信できるRCレーダの開発 このテーマに関しては順調に進んでいると判断する.道路の水平ひび割れ検出においては,雨が降っていない状態で,時間を掛ければアスファルトで舗装された高速道路を模擬したコンクリート中の水平ひび割れを検出できることを示した.残っている課題は降雨後の探査,観測時間の高速化,データからのひび割れ検出の自動化,アンテナの高性能化である.令和5年度は主にアスファルトの電気定数の降雨依存性について研究を行なった.その結果,降雨によるアスファルトの電気定数の変化を明らかにし,降雨後1週間が経過すれば,水平ひび割れが探査可能であることを確認した. 以上をまとめると,総合的には予定通り進んでいると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2つのテーマに対しする今後の研究の推進方策について別々に説明する. テーマ①市販のRCレーダを用いた高性能の鉄筋径の推定手法の開発 ベクトルネットワークアナライザを利用した簡易レーダを用いてコンクリート中の伝搬距離に対するパルス幅の拡張を近似関数で表し,高精度鉄筋探査アルゴリズムに組み込む.また,現在は送信アンテナと受信アンテナを別にした構造で,鉄筋探査を行なっているが,1つの送受信アンテナを利用した鉄筋探査の可能性についても議論する予定である.1つのアンテナによる鉄筋探査の方が鉄筋径の推定に有用であると判断されれば,従来のRCレーダーの技術をそのまままに,2つのアンテナを同一直線上に配置する構造で,鉄筋探査を試みる. テーマ②水平ひび割れを受信できるRCレーダの開発 パルスを構成する正弦波の数を減少させ,測定時間の短縮を図る.また,測定データの間隔を広くし,想定時間の短縮を図る.さらに,測定データから自動的に水平ひび割れが表示されるアルゴリズムを開発する.
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Causes of Carryover |
市販のレーダをレンタルして実験データを取得する予定であったが,市販のRCレーダ装置は放射パルスの正確な形状や時間原点などは公開されていないため,ブラックボックスである.これらの値を精確に推定するために,しばらくの間RCレーダのレンタルを延期して,ネットワークアナライザによる簡易レーダ装置による実験に変更した.そのためレンタル費の数十万円が不要となった.しかしながら,本研究課題の終了まで残り3年あり,遅くとも最終年度の前までにはパルス幅の拡張を関数化し,アルゴリズムを完成させ,その時に最新のRCレーダをレンタルして,研究を完了させる予定である.したがって,レンタル費の残高分はそのまま次年度以降まで残す予定である.しかし,簡易的なレーダ装置の改良も必要になると思われるため,アンテナ,ケーブル,送受信装置などの材料が当初の計画よりも多くなることが予想される.
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