2023 Fiscal Year Research-status Report
Methods for predicting the continuous expansion of structures in which alkali-aggregate reactions have occurred
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23K04000
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
山田 一夫 国立研究開発法人国立環境研究所, 福島地域協働研究拠点, フェロー (30590658)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アルカリ骨材反応 / 残存膨張 / 暴露試験 / コア / アルカリ溶出 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は「コアの促進膨張試験を行い、将来にわたる定量的膨張予測を試みる。」であり、そのため、初年度は、「既に暴露を行っているコンクリートブロックから、コアを採取し、促進膨張試験を実施する。この実験に際し、RILEM TC AARの会合に参加し、骨材からのアルカリ溶出と試験体からのアルカリ溶脱に関する最新の知見に関して意見交換する。」計画であった。 計画通り、気象条件が異なる国内3カ所での暴露ブロックの膨張率測定を継続して行い、コアを採取した。また、RILEM TC ASRにおいて、骨材からのアルカリ溶出の影響について議論を進めた。 一方で、独自に実験室で作製したコンクリートブロックから膨張前にコアを採取し、ブロックの暴露環境での膨張とコアの促進養生試験を行ったと。促進養生条件としては、JCI-S-011-2017、この試験体にRILEM AAR-13のアルカリラッピングの適用、80℃1MのNaOH溶液への浸漬である。その結果、同一のコンクリートであるにもかかわらず、採取したコアの促進膨張は、暴露でのブロックの膨張よりも大幅に減少した。 また、アルカリ金属を極めて多く含有する準長石であるネフェリンを含有するネフェリンサイアナイト粉末(陶芸の釉薬原料)を細骨材置換で5%添加した反応性チャートを含有するコンクリートの膨張挙動も調べた。その結果、アルカリ総量に換算して1.75kg/m3の増加効果が認められた。アルカリ溶出を評価する方法がRILEM AAR-8として制定されているが、その測定結果は0.18kg/m3の増加効果であり、過小評価となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験計画に則り、国内で最も寒冷な場所の一つである紋別、温暖な福岡、最も高温な場所の一つである那覇の3カ所に暴露してある3種類のコンクリートブロックの変形量を2~3回継続的に測定し、これまでの傾向と一致していることを確認した。また、3種類のコンクリートブロックから1本ずつ計50mmのコアを採取した。コアの採取後の膨張率は、コアを採取した場所も採取していない場所も有意な変化は見られなかった。 一方、別途検討したコンクリートブロックから膨張が始まっていない段階で採取したコアの促進膨張試験を異なる促進条件で行ったところ、いずれの試験でも、暴露したコンクリートブロックの膨張の半分程度しか膨張しなかった。これは、コアを採取するということ自体が、アルカリ骨材反応に与える膨張に影響を及ぼす可能性を示している。 実験自体は計画通りに進めているが、新たな実験により、従来通りの計画でコアの促進膨張試験を行っても、将来の膨張の定量的予測は困難であると考えられたため、コアの促進膨張試験はいったん中断し、その対策を検討することにした。 よって、実施内容の一部に変更が生じたが、新しい重要な知見を得て対策を考えることとしたため、進捗はおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では、暴露試験を行っている履歴が明らかであり、室内の促進条件が安定しているアルカリラッピングを施したコンクリート角柱の促進膨張試験により異なる気象条件における暴露での膨張挙動が予測可能なコンクリートブロックから、コアを採取し、将来予測に繋がる適切なコアの促進膨張試験条件を検討するはずであった。 しかし、別の研究により、コアを採取するという行為自体でコンクリートのアルカリ骨材反応による膨張を大幅に減少することが分かった。また、骨材からのアルカリ溶脱の評価がRILEM基準では適切に行えないことも分かった。 これらの内容をアルカリ骨材反応国際会議(オタワ)で発表し、海外の研究者と意見交換し、今後、どのように対応すべきかを2024年度に再検討することとする。国際会議論文では、コアの膨張を単なる膨張率の差とするのではなく、その挙動をこれまで構築してきた実環境における膨張挙動に変換する方法を適用して、長期的膨張がコアの促進膨張試験結果とどの程度乖離するのかを含めて表現する。
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