2023 Fiscal Year Research-status Report
泥岩で造成される盛土の耐震性を考慮した設計施工基準と既設泥岩盛土の評価方法の確立
Project/Area Number |
23K04025
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
酒井 崇之 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20773592)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 泥岩 / スレーキング / 締固め / 盛土 / 地震応答解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
地下水位の変動を想定した応力変化を三軸圧縮試験機で再現することができた。地下水位は繰り返し変動するため、応力変化も繰返し与えた。その後、サンプリング過程も三軸圧縮試験内で想定していくことで、盛土からサンプリングした過程も考慮していく。 本年は応力比の影響を調査するため、応力比一定条件で、応力変化を与えた。その後,非排水三軸圧縮試験を実施し、三軸圧縮試験機から取り出した供試体に対して粒度試験を実施した。その結果を以下に示す。 応力の変化を与えることで、体積変化が起きるが、1サイクル後の体積変化に着目すると、応力比が小さい場合は排水するため、体積は小さくなる。一方、応力比が大きい場合は、履歴の途中で膨張もするため、体積変化はほとんどなかった。その後の非排水三軸圧縮試験においては、応力履歴を与えた方が軸差応力が低下した。このことから、水位変化により泥岩盛土の強度が低下することが示唆される。しかし、粒度については、ほとんど変化がなかった。粒度の変化が起きなかった原因として、飽和状態で実験をしたことが挙げられる。ただし、粒度変化が起きなくても強度低下は起きていることも重要な観点であると言える。 今回は応力比一定として応力履歴を与えたが、今後は様々な履歴を与えることにより、より実現象に近い状況を作り、より詳細に泥岩盛土の強度低下メカニズムを調べていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は、地下水位以下におけるスレーキング進行のメカニズムを明らかにする試験方法の確立を目指す予定であったが、それを実現し、三軸圧縮試験機内で、スレーキング進行による強度低下を再現することができた。そのため、おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は過圧密比の異なる供試体を作製する.そして,過圧密比がスレーキング進行に及ぼす影響を把握する.そして,供試体のスレーキングポテンシャルを把握する.スレーキングポテンシャルの把握方法は,以下の通りである.供試体作製時に使用した泥岩に対して乾湿繰返し細粒化率試験を実施し,試験後の供試体に対しても,乾湿を与え,細粒化率を把握する.そして,乾湿繰り返し細粒化率試験結果と照らし合わせることで,今後スレーキングするか否かや,現状のスレーキングの進行程度を把握することが可能となる.例えば,細粒化率が大きいのであれば,今はスレーキングしていないが,今後スレーキングする可能性があると考えられ(スレーキングポテンシャル大),細粒化率が低い場合,細粒化しやすい泥岩はほとんど細粒化してしまった状態で,細粒化しにくい泥岩粒だけ残っている.つまり,スレーキングがかなり進行した状態であると捉えられる(スレーキングポテンシャル小).実際の盛土に対しても,現在と同様に変状を調査して,変状のある盛土に対して,泥岩を採取し細粒化率を把握する.施工前に調査したスレーキング率と盛土内の複数箇所で細粒化率を調査し比較することで,施工後の盛土のスレーキングポテンシャルを把握することができる.
|