2023 Fiscal Year Research-status Report
Countermeasure against Excessive Flood by the Cooperation Operation of Dams for River Basin Disaster Resilience and Sustainability by All
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23K04046
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
押川 英夫 佐賀大学, 理工学部, 教授 (80311851)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 流域治水 / ダム / 超過洪水 / 嘉瀬川 |
Outline of Annual Research Achievements |
嘉瀬川のようにダムが直列配置されている場合、上流側ダムの非常用洪水吐きからの越流を許容するカスケード方式の適用も期待できる。既存ダムの有効活用として佐賀市街地から上流側を対象に、事前放流を活用した場合を想定して既存の2基のダム(嘉瀬川ダム、北山ダム)の治水容量と放流規則(ゲートの操作方法)を変更することによる嘉瀬川上流域の治水能力の強化効果について、1次元不定流解析により検討した。具体的には、嘉瀬川ダムと北山ダムに任意の治水容量を設定した上で、上流側の北山ダムで非常用洪水吐きからの越流を許容するカスケード方式を考慮することで期待される治水能力の強化効果について数値実験的に検討した。その結果、一定の治水容量を直列ダムに配分する場合、上流側のダムの計画最大放流量が小さい場合には、治水容量比にかかわらず下流側のダム1基で治水を行った場合に匹敵する洪水制御能力を維持できることが明らかとなった。また、下流側のダムの治水容量を設定する場合、上流側のダムの2倍以上の治水容量とすることで、上流側のダムの計画最大放流量にある程度の柔軟性を持たせたままで高い治水効果を維持できることが分かった。 また、既存ダム群を利用した事前放流による治水能力の強化を図った上で、嘉瀬川下流部の佐賀平野に拡がる広大な農地を利用した内水氾濫抑制に向けた更なる流域治水策として、田んぼを利用した治水能力の強化効果について2次元氾濫解析を用いて検討を行った。その結果、田んぼを湛水させることにより、ある程度の治水効果が得られることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、任意かつ容易に条件設定が可能な数値シミュレーションを利用して、北部九州を流れる1級河川の嘉瀬川を対象にした既存ダムの有効活用による流域治水の治水能力の強化効果について検討した。嘉瀬川流域には、上流側に位置する利水用の北山ダムと嘉瀬川ダム区間でダムが直列配置されていることから、流域治水のメニューとして期待される既存の利水ダムの治水利用の促進を意図して、カスケード方式までを考慮して直列ダムの治水容量比に応じた治水能力について数値実験的に検討を行った。利水ダムを含めるとダム等が直列配置されている流域は多いことから、治水容量比に応じた本研究の成果は、今後の流域治水策の効果の定量的評価に向けて有用なものと期待できる。また、嘉瀬川が貫流する佐賀低平地の特徴である広大な農地を利用した内水対策の治水効果についても、下流側の市街地を含む平野部の2次元氾濫解析により検討を始めている。 したがって、本研究は概ね順調に進捗しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、流域治水の観点から、ダムなどの複数の貯水施設を利用した治水適応策の効果と限界(潜在可能性)について、カスケード方式までを考慮した上で定量的な評価を目指している。一方、解析条件の一部が限定的であったことから、嘉瀬川流域に限っても普遍性の観点からは今後補足的な検討が必要なものと考えられる。 次年度は、ダムが直列配置された筑後川を対象に、ダム群連携による治水能力の強化効果を検討する。複数の流域における検討結果を踏まえることで、ダム群連携による治水能力の強化効果を適切に評価する。また、内水対策としての流域治水のメニューを考慮した下流側の氾濫解析を行うことで、今後の超過洪水対策としての流域治水策の効果の評価に向けた検討を行う。
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Causes of Carryover |
地形や流量などのデジタルデータの購入を想定していたものの行政機関等から無償で得られたこと、現地調査や解析結果のデータ整理の際に学生アルバイトを雇用する予定であったが同僚の技術職員による業務としての協力が得られたこと、東京で行われた学会での成果発表を予定していたものの九州内の近郊で行われた学会での成果発表に変更したことなどから、余剰金が生じた。 余剰金を含めた次年度の研究費は、物品費、旅費、人件費・謝金、その他の各項目で使用する。
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