2023 Fiscal Year Research-status Report
Multiphase continuum model for mixed-size fluid-particle flows based on visualization of interaction forces
Project/Area Number |
23K04047
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
福田 朝生 琉球大学, 工学部, 准教授 (00709694)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 混合粒径 / 固液混相流 / 分級 / 大粒子先頭部集積 / 無次元流動深 / 大粒子径 / 土砂水理実験 / PIV |
Outline of Annual Research Achievements |
水と混合粒径粒子群からなる固液混相流は分級を伴う複雑な現象であり,土石流対策をはじめとして,学際的に現象解明と実用的な数値解析モデルの開発が求められている.研究代表者らは,既往の研究において粒子の回転なども考慮し,粒子を離散的に取り扱う,水と粒子の微視的視点運動に着目した混合流れの数値解析法APM(Arbitrary Particle Multiphase)を構築している.本研究は,土砂流の水理実験および,APMによる数値解析を行い,混合粒径土砂流の移動機構を考察する.そして,粒子を離散的に取り扱うのではなく,巨視的に粒子運動を取り扱う,より実用的な連続体近似の混合粒径の多相モデルの構築を目指すものである. 初年度は,混合粒径土砂流の基本特性の把握を目的として,2粒径の混合粒径土砂流の水理実験を実施した.水路勾配,粒径比および単位幅流量を変化させて,分級の結果により生じる先頭部への大粒子の集積の様子を観察し,その機構を考察した.実験結果では,大粒子の先頭部の集積は,土砂流の流動深が大粒子よりも大きい時に生じ,流動深が大粒子より小さく,大粒子が水面から大きく露出するよう際は,大粒子の先頭部への集積は生じなかった.また,流動深が大粒子径より大きな際は,供給流量が大きいほど,水路勾配が小さいほど,大粒子の先頭部集積は顕著となった.これらの実験結果より,混合粒径土砂流の大粒子の先頭部集積において,流動深と大粒子径の比は極めて重要な要素となることが明らかとなった. 初年度の種々の混合粒径土砂流の実験結果は,混合粒径の基本特性の分析としてだけではなく,本研究で目指している,混合粒径の多相連続体モデルの検証材料としても重要なデータとなる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,土砂流の水理実験および,微視的な粒子と水の相互作用を推定し得る数値解析法APM(Arbitrary Particle Multiphase)の両者を用いて,混合粒径の固液混相流の力学機構を考察し,この結果に基づき,混合粒径の多相連続体モデルの構築を目指すものである.初年度では,流量や,水路勾配や,粒径比を網羅的に変化させて,種々の条件で土砂流の水理実験を実施した.これらの験結果は,構築する連続体モデルの検証材料としては,十分なものである.また,この土砂流水理実験による考察の中で,流動深と粒子径の比は,粒子運動を規定する大きな要素となることが明らかとなった.これらの物理機構は,構築を目指している,混合粒径の連続体モデルで考慮すべき重要な知見である.このように,本研究では,初年度で,今後の構築モデルの検証にも活用できる十分な水理実験結果を得ており,かつ,混合粒径の粒子運動を規定する重要な知見も得られており,研究計画と照らしても,本研究は順調に進んでいると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者らは,既往の研究において粒子の回転なども考慮し,粒子運動を離散的に取り扱う,水と粒子の微視的視点運動に着目した混合流れの数値解析法APM(Arbitrary Particle Multiphase)を構築している.次年度以降は,APMを活用し,種々の条件の混合粒径土砂流の数値解析を行い,粒子のひずみ速度,粒子の体積割合,粒子に作用する流体力,粒子間の相互作用力などを各粒径粒子で求め,同時に水のひずみ速度や,水と水の相互作用力を求める.これらを分析し,多相連続体モデルの同一粒径間や,異なる粒径間の相互作用力や,水と粒子の相互作用力の流体力や,水と水の相互作用力の構成則を構築する.構築した構成則を用いた運動方程式に基づき,混合粒径の多相連続体の数値解析モデルを構築する.初年度で行った混合粒径土砂流の実験結果を対象に,構築した多相連続体の数値解析モデルで解析し,多相連続体モデルの検証を行う.必要に応じて,モデルの修正等を行い,混合粒径の多相連続体モデルの解析精度を向上させる.
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Causes of Carryover |
初年度は,水理実験と数値計算の両者を進める予定であった.このうち初年度は水理実験を優先して進めたため,数値計算に関する研究は,次年度以降に持ち越す割合が多くなった.そのため,当初想定していた数値解析に要する費用が残り,次年度使用額として生じた.当初計画から実施予定であった,数値解析を次年度以降に実施するために次年度使用額を使用する.また,近年の燃料高の影響を受け,各種大学のスパコンの利用費も急激に上がっており,今後研究計画通りにスパコンを利用して研究を進めるために,次年度使用額は本研究を遂行する上で必要な費用である.
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