2023 Fiscal Year Research-status Report
中低速モビリティとの共存を見据えた道路空間・交通運用システムの再構築に関する研究
Project/Area Number |
23K04074
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 弘司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30362320)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 小型電動モビリティ / 中低速モビリティ / 通行空間整備 / 交通安全 / 電動キックボード / 特定小型原動機付自転車 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,時速15-30km程度の中低速電動モビリティの今後の普及展開を見据えた道路構造,交通運用システムの再構築を目指すものである.本年度は,(1)小型電動モビリティの潜在的,顕在化した危険度マップを作成し,現在の道路構造,交通運用上,課題のある箇所を明らかにすること,(2)海外ヒアリング,文献調査分析を通じて,中低速モビリティとの混在を前提とする道路階層やネットワーク整備,都心部の道路空間再配分,交差点部処理を含む交通運用システムに関する技術的基準などの情報を収集整理し,わが国でも今後想定される電動キックボード事故の問題の解決方法について明らかにすることを目指した. (1)危険度マップについては,警察庁の事故統計(2022年)オープンデータを用いて,GIS上に表示する枠組みを考案することで,小型電動モビリティのうち,立ち乗り型電動車の事故特性を確認し,自転車との事故発生状況の違いについて分析できる準備を整えた.また,小型電動モビリティに関する現在の道路構造上の課題を,利用者視点で評価するため,特定小型原動機付自転車の購入者へのアンケートを企画,実施した. (2)海外ヒアリング,文献調査については,米国シカゴでの電動キックボードの通行空間整備の実態を確認し,通行空間を分離する構造での安全性確保や交差部の滞留スペースの配慮などの構造上の工夫事例を整理した.また,国際交通安全学会主催の国際研究ワークショップに参画することで,英国ロンドン市内の小型電動モビリティを考慮した都市空間整備の方向性について,行政担当者から情報を取得した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析は必ずしも十分な水準まで達していないが,当初想定した調査の計画や必要な情報収集を概ね進めることができたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度取り組んだ内容について,事故統計に基づく小型電動モビリティの危険性評価に関するGIS分析に取り組み,また,アンケートで取得した特定小型原動機付自転車利用者の車道歩道選択や潜在的危険性評価の意識構造分析などを進め,併せて,海外調査事例についての整理も行い,研究成果を土木学会等の研究発表会や国際会議にて報告する. 新規に,歩道走行時,車道走行時の小型電動モビリティの挙動が周辺利用者に与える影響分析を行うため,小型電動モビリティの挙動として,構内実験での走行およびビデオ観測調査を実施する.この調査データにもとづき,歩道利用時の周辺歩行者,自転車の回避挙動,歩車コンフリクトを定量的に評価する.さらに,歩道上の交通密度,幅員を制御パラメータとした実験を行い,交通状況と道路構造との関係を明示的に考慮できるようにする.対象とするモビリティは立ち乗り型の電動キックボード(2輪,3輪)を用いる.走行する被験者,被験者の周りにいる利用者の感覚,受容性等の主観的な評価についてアンケートにより把握し,受容性評価を高める歩道空間を明らかにすることを目指す. 最終年度に向けて,研究期間の中盤から,VRおよびシミュレーションによる中低速電動モビリティ混在下の道路空間整備の在り方についての検討を進める.歩道,車道を組み合わせた道路構造,交通制御に対する他モードからの同モビリティの受容性に関する評価を実施し,様々な道路構造や交通運用システムのパラメータを変更することで,中低速電動モビリティ混在下の安全快適な道路空間を提案評価する.
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Causes of Carryover |
所属機関において関連する研究課題の予算があり,そちらで旅費を支払うことができたため,次年度使用額が生じた.この使用額については,本年度の調査実施時において謝金支払いで使用する計画である.
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Research Products
(2 results)