2023 Fiscal Year Research-status Report
ロードダスト中重金属の都市における分布と挙動の解明
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23K04090
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
齋藤 有 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (60469616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷水 雅治 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (20373459)
申 基チョル 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (50569283)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 道路堆積物 / 重金属 / シェムリアップ / プノンペン / アンコール遺跡 / 鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月にプノンペン,2024年2月に徳島市で道路堆積物の採集調査を行った.プノンペンでは市の中心部を網羅するように交通量の多い道路を選定して1km間隔で40地点,徳島市では市内の主要道路である県道30号線と国道318号線,439号線より1km間隔で17地点より道路端に集積した堆積物を採取した. 2022年9月にシェムリアップで採取した試料,2023年にプノンペンで採取した試料について,元素濃度と鉛同位体比の分析を行った.各試料は自然乾燥後,重金属元素が濃縮しやすく可動性の高い100μm以下の細粒成分をふるいで抽出,天然のケイ酸塩粒子の寄与を除外するため,1M塩酸で溶出する成分を分析対象とした.分析は総合地球環境学研究所の共同利用機器を利用して行った.元素濃度はICP質量分析装置,鉛同位体比はマルチコレクター型ICP質量分析装置を用いて測定した. 元素分析の結果,シェムリアップ,プノンペン共,道路堆積物には,以前測定した東京の試料と同様に,亜鉛,銅,カドミウム,鉛が強く濃縮されていることが明らかになった.ただし,その4元素とも東京と比較すると濃縮度は低く,東京の道路環境の重金属汚染が際立つことが確認された.プノンペンとシェムリアップではプノンペンの方が濃縮度が高く,両都市の産業構造の違いを反映したものと解釈できる.すなわち,プノンペンは首都であり,人口,交通量も多く,各種産業が発達しているのに対し,シェムリアップはアンコールワットに依存した観光都市である. 鉛同位体比は206/204, 207/204, 208/204ともシェムリアップで高く,東京で低く,プノンペンはその中程度の値となった.ただし,カンボジアの2都市は206/204に対する207/204が高い点で東京とは異質である.シェムリアップに関しては,遺跡のコーティング由来の鉛が寄与していることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
徳島,シェムリアップにおいて予定通りに試料を採取できた他,プノンペンにおいても面的分布を把握するのに十分な数の試料を採取することができた.さらに,シェムリアップ,プノンペンの試料については,100μm以下成分について元素濃度,鉛同位体比の測定も完了し,徳島の試料についても,同成分について元素濃度分析は完了している.また,東京の試料についても鉛同位体比を完了し,東京,シェムリアップ,プノンペンの三都市については,元素濃度分布図,鉛同位体分布図を作成して空間分布の傾向の解析への取り組みを開始したところである.計画していた①都市毎の元素同位体分布の把握,②粒度区分・成分毎の元素同位体比の把握,③流域への道路堆積物の影響の把握,という3課題のうち①を概ね完了したことになる.本研究の期間は4年であり,すでに1/3を完了したことから概ね順調と判断できる.また,分担者の申氏は,東京の試料について鉄同位体比の測定を完了しており,谷水氏は水銀濃度の分析に取り組んでいるところである.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はまず,徳島の道路堆積物試料の100μm以下成分についての濃度同位体分析を完了させる.また,東京,シェムリアップ,徳島,プノンペンより濃度・同位体比がそれぞれの中央値に近い典型的な試料を8試料程度ずつ選定し,粒度をさらに細分して画分毎の分析を行う.徳島市内の河川において河川水,懸濁物,底質の採取を行う.2025年度は,河川試料の分析を行い,道路堆積物の元素組成・同位体比と比較,交通起源物質の水域への影響を調べる.2026年度は,補完的な分析を行うとともに成果のまとめと公表作業を中心に行う.
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Causes of Carryover |
徳島市の道路堆積物試料の元素・同位体分析を延期したため,総合地球環境学研究所への出張旅費,共同利用機器利用分担費の支出が無かったため生じた.それらの分析は2024年度に行う予定である.
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Research Products
(1 results)