2023 Fiscal Year Research-status Report
医療施設における水道蛇口整流器の取り扱い標準化の確立
Project/Area Number |
23K04092
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高城 一郎 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20418841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
力武 雄幹 宮崎大学, 医学部, 助教 (00972093)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 水道蛇口整流器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、整流器の取り扱いに関するガイドラインはまだないため、医療施設における水道蛇口整流器の取り扱いの標準化を確立することである。非結核性抗酸菌は、土壌や水などの環境に存在し、人への病原性は極めて低いと言われている。しかし、まれではあるが、非結核性抗酸菌を起炎菌とする感染症例も報告されていることから、免疫不全患者の診療にあたる医療施設においては注意が必要である。現在、当院では水道蛇口整流器は微生物増殖の足場となる可能性があるため、整流器は外したままになっている。そのため、医療施設における水道水の非結核性抗酸菌汚染の実態、整流器との関連や防止方法を見出し、より良い感染対策の推進に貢献することができるようになることである。
現時点での研究の成果は以下の通りである。 IR Biotyper を使用して菌株間の相同性を評価した結果、整流器(環境由来)と臨床検体(患者由来)の相同性が一部に見られた。整流器を再装着して検討した結果、M.paragordonaeおよびM.gordonaeが検出された。微生物増殖の足場となりにくい素材の整流器があるのか検討した結果、銅は有効性がある可能性があるが、メッキの問題や現実的な導入の難しさがある。水道蛇口に深紫外線照射装置を装着することの有効性が認められたが、装着場所や経済性も考慮する必要がある。整流器の撤去、ペットボトル水の使用、および抗酸菌検査前に水道水でうがいを行わない指導の徹底により、入院患者検体におけるM.paragordonaeおよびM.gordonaeの検出が激減している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IR Biotyper を使用して菌株間の相同性を評価した結果、整流器(環境由来)と臨床検体(患者由来)の相同性が一部に見られた。整流器を再装着して検討した結果、M.paragordonaeおよびM.gordonaeが検出された。微生物増殖の足場となりにくい素材の整流器があるのか検討した結果、銅は有効性がある可能性があるが、メッキの問題や現実的な導入の難しさがある。水道蛇口に深紫外線照射装置を装着することの有効性が認められたが、装着場所や経済性も考慮する必要がある。整流器の撤去、ペットボトル水の使用、および抗酸菌検査前に水道水でうがいを行わない指導の徹底により、入院患者検体におけるM.paragordonaeおよびM.gordonaeの検出が激減している。
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Strategy for Future Research Activity |
水道水は無菌ではなく、非結核性抗酸菌は水道水の残留塩素濃度(0.1mg/L)に対して抵抗性を示す。水道水を介した非結核性抗酸菌の感染事例やpseudo-outbreakの報告が散見される。M.paragordonae は弱毒菌であるが、症例報告レベルでは発症例がみられるため、免疫不全患者では注意が必要である。 今後、整流器の再装着を行うかどうか。再装着する場合、どれくらいの間隔で清掃や消毒を行うべきか。微生物増殖の足場となりにくい素材の整流器があるか。水道蛇口に深紫外線照射装置付器機を取り付けることで問題を解決できるか、などについてさらに検討していく。 水道蛇口整流器は微生物増殖の足場となる可能性があるため、病院での使用については十分な注意や対策の検討が必要であると考えている。整流器の取り扱いに関する具体的なガイドラインはまだ存在しておらず、院内感染対策に適用できるようなエビデンスの構築を目指す。これらの方策を推進することで、医療施設における感染リスクを低減し、より安全な環境を提供することが期待される。
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Causes of Carryover |
翌年度分として請求した助成金と合わせて使用計画していきます。
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