2023 Fiscal Year Research-status Report
焼却灰の酸化還元特性と焼却灰溶出液における六価クロムの挙動の解明
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23K04094
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
水谷 聡 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80283654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 浩 金沢大学, 物質化学系, 教授 (90253335)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 六価クロム / 都市ごみ焼却飛灰 / 酸化還元電位 / 酸化還元容量 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジフェニルカルバジド吸光光度法では定量が難しかった複数の都市ごみ焼却飛灰溶出液に含まれるクロムに対して,六価クロムと三価クロムとの分別定量法のためのイミノ二酢酸型キレート樹脂(固相抽出剤)の適用条件について検討した。まず吸光光度法の前処理としてこのキレート樹脂で鉛を除去することで吸光光度法が適用可能となることを示した。また溶出液のpHをアルカリ状態に保ちながらこのキレート樹脂に通液することで,溶出液中の六価クロムと三価クロムとを分離できることを明らかにした。なお今回扱った数種の飛灰においては,溶出液中の六価クロム率はほぼ100%であると考えられた。 15種類の都市ごみ焼却飛灰溶出液の酸化還元状態は,標準電極電位を基準として+150~250mV程度を示し,酸化的な状態であった。ただし酸化還元電位(ORP)の精度はやや低くばらつきが大きいことを考慮すると,灰種による違いはさほど大きくないものと思われた。また排ガス処理方式や使用する消石灰の違いによる傾向は見られなかった。 溶出液と飛灰混合溶液の酸化還元滴定を行ったが,ORPの値が不安定なこともあって終点の確認方法が難しく,滴定方法について試行錯誤をしている段階であり,定量的な数値は得られていないが,現時点では飛灰の種類による差異は見られていない。一方で,溶出液と混合液とでは値が大きく異なっていることは確認できており,埋立地での挙動を考える上で有意義な知見が得られていると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固相抽出剤を用いた六価クロムの分別定量に目処が付いたため,六価クロム率の分析を進めることができる。酸化還元滴定と滴定曲線についても試行錯誤を進め,課題が明らかになっており,順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
飛灰は30種類程度が入手できているため,六価クロム率の測定を進める予定である。酸化還元滴定については,ORPの指標としての精度を見極めつつ,今年度中に滴定方法を確立し,滴定曲線や飛灰の酸化還元容量の測定方法を確立する予定である。
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Causes of Carryover |
対面会議のために旅費を計上していたが,オンライン会議に切り替えたために僅かに余剰金が発生した。24年度は対面会議(金沢大学訪問)を予定しており,旅費も上がっていることから繰越額を含めて旅費として使用する予定である。
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