2023 Fiscal Year Research-status Report
構造材としての竹防腐防虫処理技術およびそれを用いた竹構造建築設計施工手法の確立
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23K04107
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
陶器 浩一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50363958)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 竹構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は竹構造材に適用可能な防腐防虫処理技術につき、竹材に適用する場合の課題を抽出し処理方法の検討を行ない、さらに、幾つかのパラメータを設定して処理を施した竹材の基礎的な性能(防腐防虫効果、構造特性)を明らかにするための試験を策定し、そのために必要な竹の伐採および試験体製作を行なった。材料パラメータとしては、処理具合・材齢・断面・含水率・丸竹からの採取位置・産地等である。 供試体となる竹材は、まず伐採した部材の下部、中部、上部の三部位から切り出し、試験材個々の両端部(A材、B材)の容積を求め、これらの平均値を試験材容積重と推定し、試験材重量をこの推定試験材容積重で除算することで試験材体積とする。含水率は、試験材の両端材を加熱減圧乾燥機で恒温にし、含水率を求め、これらの平均値を試験材平均含水率とする。試験は未処理、炭化処理、薬品処理された竹材に対して行う。処理方法としては大きく炭化処理と薬品処理の二つがある。炭化処理としては温湿度と処理時間を管理して加熱処理を行う。今回は、乾留処理(水蒸気式恒温高熱処理(約120℃)(加工竹の乾溜処理として行われているもの)を対象とする。薬品処理としては工業的に木材で用いられている水溶性加圧保存薬剤を加圧注入する圧力ポンプ法のACQ処理、一般竹建材の防虫処理をして行われているドブ漬け、無機質材である液体ガラス含侵の3種類とするが、海外で一般的に用いられている木口からホウ砂ホウ酸を圧入するBoucherie法の導入も検討している。生産性、費用、防腐防虫性能、寸法影響、強度影響等を考慮し、構造材に適した防腐防虫処理方法を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、乾留処理、ACQ処理、ドブ漬け、液体ガラス含侵につき、各処理を施した試験体を製作し、強度試験まで行う予定であった。各処理は実際に木材等で上記処理を行っている企業に竹材への適用の技術的相談を行った上で依頼するものであるが、相談に要する時間調整および企業工場の施工タイミングの調整に時間を要し、処理は2024年度に行うこととなった。処理前の試験体の製作および試験場所の準備は既に終えていて、2024年度初めから順次処理を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
・材料の構造特性の検証:材料強度試験は引張・圧縮・曲げ・せん断試験とし、ISO22157に基づいて行う。材料パラメータとしては、処理具合・材齢・断面・含水率・丸竹からの採取位置・産地等を考えている。 ・防腐防虫効果の検証:JIS A 9201 木材防腐剤の性能基準、JIS A 9301 木材防腐剤の性能試験試験方法通則、JIS A 9302 木材防腐剤の防腐効力試験方法、JIS K 1571 木材保存材「性能基準及び試験方法」に準拠し、オオウズラタケやカワラタケを用いて竹材の防腐処理効力の評価を行う。 防虫については、JWPAS—IW「木材防虫剤の性能基準及びその試験方法」に準拠しながら防虫処理効力の評価を行う。 ・部材試験及び接合部試験、暴露試験:竹の特徴を活かした架構として長尺竹を曲げて用いる架構が有効である。基本的な材料試験に加え、長いままの丸竹を曲げていく長尺曲げ試験を行う。先端に結び付けたロープと荷重計を人力で引っ張ることにより曲げ、各加力段階での荷重と変形後の座標を計測することにより試験体の線形を記録し、未処理と防腐防虫処理した竹の比較を行う。接合部の試験は、ボルト接合、ロープ接合を基本とし、いくつかの接合形式について、未処理と防腐防虫処理したそれぞれの接合部の構造実験を行い、耐力式の策定を行う。また、防腐処理した竹部材を屋外にさらして状態の変化を確認する暴露試験を行う。暴露試験では、防腐性能の確認や経年変化による材料強度変化を実験により確認する。
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Causes of Carryover |
当初計画では、乾留処理、ACQ処理、ドブ漬け、液体ガラス含侵につき、各処理を施した試験体を製作し、強度試験まで行う予定であった。各処理は実際に木材等で上記処理を行っている企業に竹材への適用の技術的相談を行った上で依頼するものであるが、相談に要する時間調整および企業工場の施工タイミングの調整に時間を要し、処理は2024年度に行うこととなった。 したがって、当初2023年度に計画した、防腐処理施工および運搬、処理後の実験に要する費用が2024年度に使用することとなった。
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