2023 Fiscal Year Research-status Report
Application of Arc- and Spiral-shaped Miura-ori to Architectural Design
Project/Area Number |
23K04113
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
田川 浩之 武庫川女子大学, 建築学部, 教授 (60422531)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 円弧状・渦巻き状ミウラ折り / 特異な一般化ミウラ折り / 剛体折紙 / 剛体平坦折り畳み / 幾何学的形状生成 / 自己釣り合い / 対称性・規則性 / 折れ線パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
剛体平坦折り畳みが可能な円弧状、渦巻き状ミウラ折りにより得られる大屋根は、山・谷のラインがはっきり表現され、美しく自然な形状をもつ。渦巻き状ミウラ折りは、平坦な展開と折り畳み、連動メカニズムを可能とする折れ線の挟角の条件を満たし、互いに4つの角度が等しい四辺形を同列に配置し、行との交点で等角に折れ曲がる折れ線パターンをもつ。円弧状ミウラ折りは、さらに同じ列の四辺形の両側の長さを等しくする条件を付与することで得られる。 円弧状、渦巻き状ミウラ折りは、特異な一般化ミウラ折りの一つのパターンである。ここで、一般化ミウラ折りとは、複数の4価頂点と山・谷折りの折れ線から構成され、1自由度で連動した剛体平坦折り畳みが可能な折れ線パターンである。一般化ミウラ折りのうち、折れ線の挟角にある対称性・規則性があるものを、本研究では、「特異な」一般化ミウラ折りと定義する。 2023年度、3×3の基本ユニットにおいて、特異な一般化ミウラ折りのパターンの数え上げを行った。規則正しく折り畳まれ、自己交差が起こらない、挟角の大小関係、山・谷の折れ線パターンに関する正統的な配置では、K1=K4,K2=K3となる11パターン、K1=K2,K3=K4となる11パターン、K1=K2=K3=K4となる4パターンの計26パターン存在することが判明した。また、これら26パターンのうち、円弧状、渦巻き状ミウラ折りは、互いに平行な折れ線が存在しない、唯一の折れ線パターンであることを発見した。 また、円弧状ミウラ折りのパターンを用いた、閉じた自己釣り合いの勾配屋根形状を、剛体平坦折り畳みシミュレーションにより求めた。建築のスケールを想定し、四辺形パネルに長さと厚み、物性値を与えて、固有値解析、自重解析などの構造解析を行った。その際、パネルとパネルの間の折れ線を剛接としてモデル化した場合、一軸回転でモデル化した場合で検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、挟角に規則性、対称性のある、特異な一般化ミウラ折りの折れ線パターン数え上げを思いつき、実際に行ったところ、計26パターンあることが判明した。さらに、これまでに提案した円弧状、渦巻き状ミウラ折りは、互いに平行な折れ線が存在しない、唯一の折れ線パターンであることを発見した。さらに、円弧状ミウラ折りについて、閉じた形状、自己釣り合いの形状を、これまでに開発した剛体平坦折り畳みシミュレーションにより得ることができ、当初の計画通り、構造解析まで行う段階まで研究を進展させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、さらに構造解析を進めて、円弧状、渦巻き状ミウラ折りによる勾配屋根の構造面の検討を行う。現段階では、使用する汎用有限要素解析プログラムによって、建築のスケールが大きくなり変位応答が大きくなると、異なる解析結果が得られる。また、一軸回転でモデル化した場合に解析不能となる場合がある。これらの問題点を解決する。また、円弧状、渦巻き状ミウラ折りによる勾配屋根の試作品の制作に取り掛かる。
|
Causes of Carryover |
2024年度に、シェル・空間構造に関する国際シンポジウム(IASS2024)が開催され、それに参加、発表するために、旅費、参加費がかかることが見込まれるため、2024年度に繰り越す計画とした。ならびに、本研究テーマである、剛体平坦折り畳みが可能な展開構造の大屋根は、地震後の避難拠点や仮設住宅など、防災分野の実用面に生かせることが想定される。それらの試験体製作費、実験費や国際会議発表などの諸費に支出することを計画している。
|