2023 Fiscal Year Research-status Report
不確定性を有する樹木のパラメータに基づく樹木の環境調整効果の定量化
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23K04138
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
河合 英徳 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (00735376)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 樹木 / 日射遮蔽 / 不確定性の定量化 / 建物熱負荷計算 / エネルギー消費量 |
Outline of Annual Research Achievements |
建築物のエネルギー消費量予測において街路樹だけではなく,住宅の外構に植栽される中低木を含めた多様な樹木に対して,日射遮蔽効果を定量的に予測するための簡易計測手法の要件を整理した。また,大学キャンパス内の樹木を対象として,簡易な樹木形状の取得方法である簡易ライダー計測と魚眼レンズによる撮影をそれぞれ行い,これらの手法の課題を整理するとともに,簡易計測手法の要件として樹木と建築物の周りの長波長放射,短波長放射の収支を整理した。以上の検討をもとに,本年度は樹木による日射遮蔽効果の簡易予測手法として,魚眼レンズ撮影によって得られた樹木による画像から,樹冠の形状と空隙を抽出する手法を提案した。また,葉面の分光反射特性を考慮したうえで,画像の輝度値から日射透過率を推定し,窓面に入射する日射量を推定する手法を提案した。また,整理した樹木と建築物の周りの放射量の収支をもとに,提案した日射透過率,日射量の推定手法の検証方法に関する検討を行った。 次に,季節変化を考慮した樹木の日射遮蔽による省エネルギー効果の予測に対しては,文献調査に基づき植生の日射透過率に関して季節変化とばらつきを明らかにしたうえで,日射透過率の季節変化のモデルを作成し,建物熱負荷計算への組み込みを実施した。建物熱負荷計算に基づくエネルギー消費量の解析では季節変化のモデルの違いと日射透過率のばらつきがエネルギー消費量の年間値と日変化に及ぼす影響を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹木の日射遮蔽効果の推定方法について,当初計画の方法とは一部異なるものの,比較的簡易な撮影方法により,日射遮蔽効果を簡易的に推定する方法を提示した。また,樹木と周辺建物の放射収支に関する物理的なモデルの整理に基づいて,提案した方法の課題と妥当性の検証方法について具体的な計画をまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
写真より得られた樹木による画像から,データサイエンスに基づく輪郭抽出手法等を用いて,樹冠の形状,空隙を抽出し,日射透過率や葉面積密度を推定する手法を実装し,提案した手法によって得られた日射量を実測値との比較により検証する。さらに,提案した方法を,様々な種類・季節の樹木に適用し,実際の樹木の日射遮蔽効果の定量化を試みる。
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Causes of Carryover |
当初樹木の形状の計測,日射量の観測を本年度に計画していたが,樹木による日射遮蔽効果の簡易予測手法の要件,概要の調査に時間を要したことから,観測の実施を令和6年度夏季に実施することとなった。次年度使用額分の予算については令和6年度の観測に必要な機器の購入等により使用する予定である。
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