2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on Creating a Sustainable Living Environment Through Participation and Cooperation in Urban Communal Living
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23K04187
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
杉本 弘文 都城工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (40570247)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 集住 / 生活・居住環境 / コミュニティ形成 / 余暇活動 / 施設分布 / 経年変化 / 意識的変容 / 都市開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度においては、以下の生活・居住環境整備に関する実態調査を実施した。 先ず、都市環境整備に関する実態調査として、研究協力機関の協力の基、2040年を目標年度とした都市整備マスタープランを入手し、生活環境の変容が著しいウランバートル都市部を中心とした施設整備等に関する現状と課題を抽出した。2023年8月には都市生活者を対象に、参加者によるまち歩きやブレインストーミングを中心とした都市環境改善案を提案する国際ワークショップ(8/25~8/29)を実施した。(参加者:計31名(内、日本人学生5名)、現地協力者6名(モンゴル科学技術大学及びモンゴル3高専の教員)) 次に、都市部を中心とした集合住宅地区の生活・居住環境の実態把握のための都市環境調査を実施(2023年9月)し、過去に実施した都市環境調査(2003年、2015年、2018年)を踏まえ、都市環境の経年的変容について定量的な分析を行った。 上記の内容を踏まえ、2024年3月に現地に赴き、研究協力機関と協働して補足調査を実施した。併せて、都市環境の急激な変容が都市生活者の生活・余暇・コミュニティ活動にどのような変化をもたらしているか、意見交換会を実施し、その意識・活動実態を明らかにするための調査方法、調査項目、調査時期等について検討を行った上で、アンケート・ヒアリング調査シートを作成した。尚、本調査は2024年度にモンゴル科学技術大学(建築学科:D.ボロルマ講師他)の協力の基で都市生活者(約400名)を対象に実施予定である。 研究の成果は、高専シンポジウム(2024年1月)において口頭発表を行ったと共に、日本建築学会大会学術講演会(2024年8月)で発表予定である。また、研究協力機関(モンゴル科学技術大学建築学科・モンゴル3高専)と情報共有しながら分析・検討を進めており、2024年度では現地での研究発表会の実施を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究計画に則って研究を遂行しており、当該年度の研究目標は概ね順調に達成している。 都市生活者(集合住宅居住者)の生活・居住環境の変化を定量的に把握するためのウランバートル市街地(都市中心部)を対象とした生活・余暇関連施設の実態調査(2023年9月)については、調査データのデータベース化を行っており、2003年より継続的に実施している都市環境調査と詳細に比較・分析し、将来予測も含めた都市環境整備の方法論を構築していくための基礎的データを蓄積している。加えて、現地調査協力機関の協力により、モンゴル教育科学省、ウランバートルの都市計画に関する有識者等にヒアリング調査を実施し、都市マスタープランを含めた今後の都市環境整備の在り方、発展の方向性について把握した。 ソフト調査に関して、都市環境整備に関するワークショップについては、現地の期待も大きく予想よりも多くの参加者があったため、3グループに分けて実施し、ウランバートル市街地のまち歩きを行った上で都市環境改善に関する提案をしてもらい、モンゴル科学技術大学教員等による講評を行った。参加者にはアンケート調査を実施し、都市整備のデザインプロセスや将来ビジョンの共有に一定の効果がみられ、高い満足度が得られた。 研究計画において実施を予定していた集合住宅管理者に対するヒアリング調査は、現地の状況(継続的に調査を実施している集合住宅地区における共用空間の工事の実施や管理組合役員の入替え等)を踏まえ、現地研究協力機関との協議し2024年度以降に実施することとした。尚、ヒアリング内容等の調査項目については検討済である。生活・余暇・コミュニティ活動等に関する聞き取り調査に関しても同様に、今後の継続的な調査実施(5年毎、前回実施は2019年)も踏まえ、2024年に実施する計画とし、調査シートの作成及び調査実施体制の構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度においては、概ね計画通りに研究が進展しており、当該研究期間における研究計画の変更はなく、令和6年度以降も研究計画に則って研究推進を図るものとする。 研究遂行上の課題として、ウランバートル市街地における都市環境の変化は、現地研究機関や政府機関も把握しきれないほど急速で予測も困難であり、正確に都市環境の実態を掴むことは極めて難しい。そのような状況の中で、現地研究協力機関と密に連携しながら研究遂行をしていくことが必要不可欠であり、定期的なオンライン会議等も行いながら研究を進めている。 現在は、モンゴル科学技術大学土木建築学科・I.ゴンチグバト教授、D.ボロルマ講師を中心として、現地の情報収集を行っていると共に、モンゴル3高専(科学技術大学付属高専、新モンゴル高専、モンゴル高専)の土木建築学科の教員も加えた研究プロジェクトチームを組織して情報共有し、定期的なオンライン会議も実施している。 尚、2024年度は6月にJICAによるモンゴル3高専に対する無償資金協力現地調査に同行し、現地での意見交換を実施予定であると共に、2024年8月及び9月に研究代表者の所属機関の在学生も同行して、現地調査(都市環境調査、ヒアリング調査等)および都市生活者を対象としたワークショップを実施予定であり、研究課題に対する研究内容・研究体制の充実と2国間の学生の教育的波及効果の拡大を図る。 また、令和5年度における研究成果は、各種学会・講演会・シンポジウム等で論文発表を行うと共に、現地学術機関(モンゴル科学技術大学、モンゴル3高専等)における講演等を行う予定である。加えて、国内外の学術誌に学術研究論文(査読付論文)としても投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年8月に実施したウランバートル(モンゴル科学技術大学)における現地調査および国際ワークショップは、所属機関における学生交流事業と併せて実施したため、事業実施に関わる旅費等の経費が所属機関より支給されたことで、当該年度に使用予定であった経費に減額が生じた。また、特にウランバートルにおける調査実施に関わる現地調査員の謝金および研究遂行(調査データ整理や翻訳作業等)に関わる謝金において、研究代表者が所属する機関(都城高専)のモンゴル人留学生やOB、現地研究協力機関(モンゴル科学技術大学およびモンゴル3高専)の学生の無償協力により、当初予定していた経費が大幅に削減された。 調査実施経費(消耗品等)について、当該年度に実施予定であった生活・余暇コミュニティ活動に関するヒアリング調査(約400名分)を翌年度実施としたため、経費を繰り越すこととなった。 減額が生じた経費分は次年度に使用することとし、調査に研究協力者(都城高専建築学科学生もしくは教員)1名を同行させることで、より効率的に調査を実施し、今後の研究を円滑に遂行するための基盤をつくることとしている。
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