2023 Fiscal Year Research-status Report
Establishment process of Housing Policy for people with disabilities
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23K04202
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
糟谷 佐紀 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (90411876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 祐子 日本工業大学, 建築学部, 教授 (70383304)
植田 瑞昌 日本女子大学, 建築デザイン学部, 助教 (80846171)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 障害者 / 住宅政策 / 成立過程 / インタビュー調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、障害者の住宅問題の現状をもたらした要因を、障害者のための住宅政策の成立過程を明らかにすることから解明しようとするものである。 初年度は、障害者の住宅に関する研究に携わってきた、また、国や自治体の委員などを担ってきた研究者を、研究活動の時期を明確にしながらリストアップを行うことから開始した。その過程において、障害者の住宅に関する研究は、建築分野の研究者による身体障害者の住宅改造に関するものが多く、障害者のための住宅政策を中心に研究してきたという研究者は、あまり多くないことが明らかとなった。福祉分野の研究者による障害者の生活に関する研究もみられた。 それらを踏まえ、研究代表者・分担者が、調査を依頼できる関係にある研究者6名にインタビューを行い、研究者がこれまでどのように「障害者の住宅」に関わってこられたのかについてお話しいただいた。 その結果、主に身体障害者を対象とした住宅改造、建築設計基準の策定、個別事例への取り組みという物理的次元と、身体障害者・知的障害者に対する住宅供給や生活形態のあり方など政策的次元という2つの次元から、障害者のための住宅を捉えることが必要であることが明らかになった。また、インタビューの中で、障害者の住宅に関連のある研究者や行政職員等の名前を挙げていただき、今後の調査計画の参考にさせていただくことができた。 1960年代の障害者運動が盛んであった時期、高度経済成長期で建築予算が拡大されていた時期に検討された内容を記した資料や、障害者の住宅に関する書籍を、インタビューさせていただいた研究者からお借りすることができた。今では入手不可能な貴重な資料が多く、これらをその時代の社会背景とともに分析していくことが必要であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた5名に対するインタビュー調査は、6名(うち1名は2回実施)に行うことができ、予定以上の成果であった。 しかし、調査を進めていく内に、お話しいただく範囲が多岐に渡り、研究関心も各人異なることから、インタビュー調査の対象をどうするか、今後それをどのようにまとめていくか、という点において、明確な方針を決定できてはいない。 インタビュー調査の終了後に逐語録を作成し、不明箇所の確認をすることに、時間を要してしまい、初年度のすべての調査の逐語録を完成させていない。また、いただいた資料の電子的保存は行ったが、それらの文献を分析するまでには至っていない。これらは次年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、研究代表者・分担者が依頼可能な建築分野の研究者を中心にインタビュー調査を行った。しかし、次年度は、福祉分野の研究者、障害者運動に関わった当事者などへのインタビュー調査を実施する予定である。これまでと異なり、直接依頼のできる関係にない人も多く、人づてに依頼する必要があるため、その準備に時間を要することになると考えている。 それと並行して、初年度に行ったインタビュー調査の逐語録、提供いただいた資料や書籍の分析を進めていく。 昨年度の調査概要を夏季に開催される学会で報告すること、また、インタビュー調査の内容を、学術雑誌に連載で掲載することが決まっており、それに向けて準備を進めている。
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Causes of Carryover |
初年度は、ほぼ予定通りに執行することができた。次年度も初年度同様に、インタビュー調査の対象者への謝金、調査場所への旅費が支出の中心となる。しかし、学会発表、分析のための打合せなどの旅費も必要となる。最終年度の研究費は少なくなるため、次年度にインタビュー調査ほぼ完了させ、打合せなどは可能な限りオンラインで行うなど、研究費が不足しないよう、計画的に使用していく必要がある。
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