2023 Fiscal Year Research-status Report
立地適正化計画における居住誘導地域と特定用途制限地域の設定状況に関する問題点
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23K04204
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
内田 一平 鹿児島工業高等専門学校, 都市環境デザイン工学科, 准教授 (80332112)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | コンパクトシティ / 地方都市 / 居住誘導方策 / 土地取得 / 土地権利変換システム |
Outline of Annual Research Achievements |
人口減少下における地方都市存続を念頭においた効果的な都市のコンパクト化に対する実効性確保が社会課題となっている。そこで、本研究では、コンパクト化を念頭においた立地適正化計画策定自治体を対象に「計画策定状況と実施状況から有効的な施策の抽出や問題点の整理を実施し、今後、立地適正化計画の立案もしくは改訂の際に利・活用ができる施策メニューを構築すること」を1つ目の目的としている。更に、これを受けて「行政による土地取得斡旋(補助)に係わる試験的な実態および地権者の所有地に対する意向を明らかにした上で、土地権利変換システム(本研究により提案)を用いた民間主導の居住誘導方策を提案すること」を2つ目の目的としている。 当該研究の1年目にあたる令和5年度では当初研究計画に則り、先ず1つ目の目的を達成するために、先ず策定済み立地適正化計画を基に計画内容および各自治体の環境についてデーターベース(以下 DB)を構築した。このDB構築においては、①.既存立地適正化計画における居住誘導地域の範囲設定状況(市街化区域または用途地域指定との対比を含む)と現人口密度・将来目標人口密度(人口減少分を考慮)の視点、および②都市人口規模や社人研試算による人口減少度合い、都市内人口に対する居住誘導区域内人口の視点が盛り込まれている。 上記のDBを活用し、居住誘導区域内目標人口の実現不透明性の問題や自治体間の人口綱引きによる更なる人口減少自治体の発生に対する問題、立地適正化計画施行後に居住誘導区域内へ人口誘導する施策の貧弱さなどの問題が抽出された。現在、把握した問題点以外の抽出に関しても研究機関終了まで継続的に取り組んでいくものである。また、研究2年目ではこのDBをもとに2つ目の目的に対する調査対象地域選定に利用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究内容の遂行にあたっては概ね順調に進んでいる。当初計画では、年度末に土木学会西部支部における学生発表を予定していたが、この点が研究進行が後ろ倒しに進んだために実行できずに終わっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目の令和6年度では、研究目的2つ目の「行政による土地取得斡旋(補助)に係わる試験的な実態および地権者の所有地に対する意向を明らかにした上で、土地権利変換システム(本研究により提案)を用いた民間主導の居住誘導方策を提案すること」を明らかにするために、調査対象地域選定とデータ取得を実行することを予定している。その内容は以下のとおりである(当該目的は2ヶ年の完遂時間を予定している)。 先ず、先のDBをもとに立地適正化計画策定自治体より、①居住誘導施策を採用していない自治体および②居住誘導区域内人口減少率が大きく かつ誘導区域内人口が郊外に点在する自治体を抽出理由として対象地域を自治体決定する。 次に、これらの自治体に対して「居住誘導地域内への転居および地域内外の土地権利交換の潜在的な能力を低・未利用地(分布と実面積)および人口密度・地域面積・人口減少率を説明変数として試算」するための、物理的指標(人口・世帯・土地利用)について、統計資料および現地踏査によりデータを収集、QGISデータの構築を随時行っていく。 更に、4自治体の居住誘導区域内および誘導区域外から意向調査対象を地域単位で抽出し、地域内外の土地に対する意向を基に土地権利変換の可能性を見出すためのアンケート調査を予定している。このアンケート票に関しては、既に原案を作成済みであり、対象地域が定まれば実行が可能である。 ここで遂行上の課題となるのが、コロナ禍後におけるアンケート調査の難しさにある。昨年度、別目的の研究において調査を実施したところ回収率の高い直接訪問・直接回収が難しい状況にあった。そのため、自治体や自治会への協力依頼や、回収の郵送化も視野に入れて手法を検討していきたい。
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Causes of Carryover |
データベース構築後の統計処理及びGISデータ構築用のPCが円高の影響で、当初予算内では性能を著しく落とすことになり、購入を見送っていた。現在は所有しているものを代替機として利用している。 しかしGISを本格運用する今年度は、必要性能の物品を予算内で導入したいと考えている。
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