2023 Fiscal Year Research-status Report
古代中世宮廷女性の生活空間と儀礼-舗設の復原と後世における伝承過程-
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23K04215
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
赤澤 真理 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (60509032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 昌之 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (20712061)
大口 裕子 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 客員研究員 (50803780)
伊永 陽子 武庫川女子大学, 附属総合ミュージアム, 嘱託研究員 (60896992)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 寝殿造 / 舗設 / 絵巻 / 女性 / 平安時代 / 障壁画 / 伊勢物語 / 八橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究分担者とともにまとめた『伊勢物語造形表現集成』(思文閣出版、2024年5月刊行)に所収する「建築・庭園における伊勢物語の意匠―室内装飾・庭園の「八橋」を中心として―」を執筆し、特に女性が使用した空間の調査検討を推進した。具体的に下記のようにまとめる。 (1) 13~14世紀制作「梵字経刷白描伊勢物語絵巻」「伊勢物語図色紙」(香雪美術館蔵)の寝殿造の表現と御帳台などの描写について分析した。(2) 西本願寺奥書院小菊の間の障壁画(「筒井筒」「若草の妹」の実見調査を実施した。本障壁画は近世において本願寺門主の奥方の空間に置かれた可能性が指摘されている貴重な襖である。(3)近世内裏における伊勢物語絵の障壁画に着目し、藤岡通夫『新訂京都御所』、谷直樹編『大工頭中井家建築指図集 中井家所蔵本』、『月堂見聞集』から、宝永度の東対屋・西対屋の障壁画の空間を平面図で示した。 (4) 仙洞御所・大名庭園、近現代における庭園の「八橋」に着目し、近世における古典文学理解の展開を分析した。八橋の意匠の展開を①雁行型高欄付、②ジグザグ、③互い違い、④稲妻などの形式に分類し、寛永度及び宝永度の仙洞御所、小石川後楽園、岡山後楽園などが18世紀に遡る事例であることを明らかにした。 上記のなかで、(3)は、近世内裏における対屋の障壁画空間を分析できた成果が大きかった。次年度以降、時代を遡って対屋の空間の先行研究を収集し、検討を推進する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、物語絵や障壁画空間など、女性の空間を近世にいたるまで通時的にみることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
女性の空間の変遷を通時的に考えた上で、打出の消失過程について明確にする。五十日の儀式や五節舞姫の行事、拝礼における女性の参加について分析を実施していく。
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Causes of Carryover |
今年度は論文執筆を中心にしていたため、国内調査を次年度に延期するものがあったためです。
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