2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K04229
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
熊崎 美枝子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (70358430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 恵一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 専任教授 (40202303)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エネルギー物質の高性能化 / 電解酸化 / トリアゾール類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高エネルギー物質の一群であるアゾール類に対し、電気的酸化を行うことで高性能化させることを目的としている。初年度では、主に反応に用いる混合溶媒・混合比率の最適化を行うとともに、得られた物質の分析を行った。最も基本的な1,2,4-トリアゾールを対象に、各種の溶媒単体および混合溶媒の適用性を評価したところ、有機溶媒に水を加えて得られた生成物が最も高い反応性を示した。酸化剤および支持電解質として機能する硝酸イオンのソースとして、本実験では水への溶解性の高い硝酸アンモニウムを利用したことから、本研究の電気的酸化過程において溶解性の向上が強く寄与したものと考えられる。また、混合溶媒比率や支持電解質の量についても条件検討を行った。その結果、最適な条件下で得られた生成物は、分解時において100%の重量減少を呈して完全ガス化を達成することができた。さらに、示差走査熱分析では4000J/gを示した。原料がそれぞれ600および1300 J/gであることと比較すれば、この発熱量は非常に高いものであり、置換基等のない1,2,4-トリアゾールを電気的酸化によって高性能化できたといえる。 1,2,4-トリアゾールを基本骨格として置換基を導入した化合物類についても、同様に電解酸化を行い発熱量を比較した.アミノ基をもつアゾール類について、1:1塩を仮定して計算して得られた値よりも高い発熱量を呈しており、エネルギー物質の高性能化に電気的酸化が有効であることが示されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は主に溶媒と原料比率の観点から最適化を行った。電位データの取得は次年度実施予定である。構造決定には至っていないが、類似の化学構造を持つ物質から得られた生成物間の比較を始めており、順調な進捗と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
電位データの取得を始めとした基礎データを収集すると共に、高い発熱量を示す有望な物質についてガス化率などのエネルギー発生挙動を測定する。特に高性能化が確認された物質を中心に、合成条件の最適化や構造解析を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は当該設備を用いない実験項目を実施した。次年度は設備の価格の推移を見つつ検討する。
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