2023 Fiscal Year Research-status Report
振動エネルギーが液体水素タンク内のボイルオフ現象および真空圧力に与える影響の解明
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23K04251
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前川 一真 神戸大学, 海事科学研究科, 助教 (20760664)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 液体水素 / ボイルオフ現象 / 振動エネルギー / 液体水素タンク / 海上輸送 / スロッシング / 水素 / 水素エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、液体水素海上輸送時における長時間の振動エネルギーが、液体水素タンク内部のボイルオフ現象および真空圧力に与える影響を解明する。本年度では、主に以下の研究成果を得た。 1.液体水素タンク横振動実験システムの構築:本研究では、横振動試験装置の上に光学観測窓付きクライオスタット(円筒縦長液体水素タンク)を取り付け、横振動試験装置の作動試験を行った。具体的には、横振動試験装置の設計値通りの加速度が得られているかどうか3軸高感度加速度計を用いて計測し、良好な結果を得た。その後、液体水素による予備実験を行い、温度計、流量計、真空計、圧力計、液面計の作動試験を行い良好な結果を得た。また、新設の真空計を光学クライオスタットの断熱真空槽に取り付け、室温、液体窒素温度、液体水素温度で作動試験を行った結果、どの温度域でも良好な結果を得ることができた。 2.液体水素タンク自然入熱に伴う蒸発量の測定:静置時において、クライオスタットの液体水素充填率100%から0%になるまで自然入熱に伴う蒸発量の測定流量計を用いて行い、振動しない場合の基準データの取得を行った。 3. 液体水素タンク横振動下における蒸発ガス流量測定実験(開放実験):本研究では、蒸発ガス流量を測定した開放実験を行った。本年度では、液体水素の初期充填率約50%と約25%で、最大加速度0.1Gで横振動させた時の液体水素タンク内部の温度、液面、蒸発ガス流量、真空圧力の計測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、液体水素タンク横振動実験システムの構築に成功し、液体水素タンク横振動下における蒸発ガス流量測定実験が可能となった。液体水素温度での、振動条件下における断熱真空素の真空度、光学クライオスタット内部の液面、温度、圧力の計測も可能となった。また、最大加速度0.1Gで最長1時間の横振動実験に成功し、長時間振動実験の知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、まず令和5年度に構築を終えた液体水素タンク横振動実験システムを使用し、液体水素タンク横振動下における蒸発ガス流量測定実験(開放実験)を行う。令和6年度では、初期充填率および振動時間の違いによる蒸発ガス流量を実験的に明らかにする。さらに、開放実験とは別に、横振動下における蓄圧実験を行う。また、令和5年度で得られた実験データを用いて、数値解析ソフトウェアSTAR-CCM+による数値解析モデルの構築を行う。
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Causes of Carryover |
本年度使用する予定であった液体水素を別実験の余った液体水素で行えたため、次年度使用額が生じることになった。 令和6年度分助成金に関しては、液体水素、液体窒素、ヘリウムガスボンベ、STAR-CCM+のメンテナンス費用等に使用し、令和5年度に生じた次年度使用額は、液体水素実験で使用する消耗品の購入費として使用する。
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