2023 Fiscal Year Research-status Report
自動走行搬送ロボット・作業者協調作業のためのリアクティブ・スケジューリング
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23K04278
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤村 茂 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (00367179)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 作業スケジューリング / 自動走行搬送ロボット / 最適化 / ピッキング作業 / リアクティブ・スケジューリング |
Outline of Annual Research Achievements |
ネット通販の普及により宅配便の需要が増え、物流業では人員不足が大きな問題となりロボット等による作業支援が行われている。そして、配送センターにおける製品のピッキング・出荷作業の効率化がさらに求められている。一方、製造業では多品種少量生産が強いられ製品毎に異なる部品を利用するために非常に多くの部品を抱えている。そこで、生産性を向上させるために、部品のピッキング作業の効率化が課題となっている。このようなピッキング作業では、近年、自動走行搬送ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)が利用され始め、ロボットと作業員の協調作業による搬送効率の向上が期待されている。搬送要求は様々な要因によってリアルタイムに変化し適切な作業スケジューリングを適時見直す必要が生じている。そこで、本研究課題では、搬送要求に対して適切にAMRを走行させ、作業員のピッキング作業をスムーズに行うことができるように、AMRと作業者の協調作業を支援するリアクティブ・スケジューリング機能を開発することを目的としている。 AMRを利用した作業員のピッキング作業の補助は様々な方式で実装されている。その中で最も容易かつ投資対効果が高い方式は次のとおりである。AMRは与えられた経路を移動し、AMRが搬送元に到着すると、搬送元で待機していた作業員がピッキング作業を行い、AMRは次の搬送元あるいは搬送先へ向かう。作業員はピッキング作業を担当する領域(搬送元の範囲)が指定されていて、その領域に入ってきたAMRのピッキング作業を行う。このような方式でピッキング作業をAMRと作業者が協調して実施する最適な方法を検討するために、当該年度では、AMRと作業者が協調してピッキング作業を行う問題のモデル化を行い、そのモデルのシミュレーション環境の構築を実施し、AMRと作業者がいかに協調していくかについて検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、まず、AMRと作業員が協調してピッキング作業を実施する問題の定式化を実施し、そのシミュレーション環境を構築した。また、そのシミュレーション環境を利用したAMRスケジューリングと作業員スケジューリングの融合方式に検討した。AMRスケジューリングでは、AMRの移動距離をできるだけ短くしオーダの対象物を納期内で搬送する解を導出する。作業員スケジューリングでは、AMRスケジューリングの制約条件を満足しつつ、作業員の移動距離をできるだけ短くし、作業員の作業量を作業員間でできるだけ均等にする解を導出する。もし、ピッキング作業のタイミングが搬送機の到着の時刻よりも遅くなる場合は、搬送機はその場所で待機する必要があり、AMRスケジューリングの結果に影響を与え、これら2つのスケジューリングの目的はトレードオフの関係にある。このような問題をいかに解くかが課題であり深層強化学習機能を組み込んだエージェントモデルの構築を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では以下の事項を実施することを予定している。 ① AMRリアクティブ・スケジューリングの開発:現在開発しているAMRスケジューリングをもとにして、リアクティブ・スケジューリングに対応する仕組みを検討する。スケジュール修正依頼に対して、現在のAMRおよび作業員の状況、未実施の既に存在するジョブ情報と新規ジョブ情報によって、スケジュールの修正を実施する。基本的には現状のスケジュール情報を初期状態として近傍探索を行う。 ② 作業員リアクティブ・スケジューリング機能の開発:現在開発している作業員スケジューリングをもとにして、リアクティブ・スケジューリングに対応する仕組みを検討する。作業員の作業の遅れ等の外乱やAMRリアクティブ・スケジューリングの修正に対して実行できる機能を実現する。 ③ シミュレーション評価:複数のシミュレーションシナリオに対してシミュレーションを実施する。その際、現在の運用形態のモデルも作成し同一シナリオに対するシミュレーションを実施し、リアクティブ・スケジューリング導入結果と比較して導入効果を検証する。 ④ 実プロセスでの導入評価:実際の配送センター、組立工場の実機を利用し評価を行う。
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Causes of Carryover |
本年度計上していた設備備品費は、実験での利用の利用を予定しており、実験は来年度以降を予定しているため、購入を遅延して最新モデルの購入とした。 本年度計上していた旅費は他予算を利用した。旅費の高騰のため、今年度分は来年度以降の国内ヒアリング、国際会議参加で利用する予定である。
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