2023 Fiscal Year Research-status Report
価格設定アルゴリズムにおける規制の影響分析と数理的研究
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23K04279
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 公俊 神奈川大学, 工学部, 准教授 (60609527)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 価格決定 / 競争 / 収益管理 / 在庫管理 / 確率モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,デジタル市場の透明性および消費者間の公平性を向上することを目的とした価格設定アルゴリズムの監視と規制について考える.特に,近年注目される競争市場におけるアルゴリズムの協調的行動や顧客セグメント間の公平性,消費者のプライバシー保護に関する問題に着目し,アルゴリズムの監視や規制が企業収益および消費者余剰に与える影響を数理モデルにより理論的に示すとともに定量的に評価するための新たな手法を開発する.今年度は競争環境下における価格決定モデルを確率的動的計画法によって構築し,価格カルテルの発生メカニズムを明らかにすることを目的とする研究を実施した.その結果,次の条件を満たす市場ではカルテルが持続する可能性が高いことを示した: (i)顧客需要が各企業が提供する供給量よりも大きい,(ii)各企業が提供する製品の特性が類似している,(iii)企業間の在庫量に差がない.この成果は論文にまとめ現在学術誌に投稿中である.また,混雑に対する消費者の異なる選好を考慮した競争市場における価格決定モデルの研究も並行して実施した.この成果は国内外の学会にて報告し,現在論文化の作業を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,競争環境における2つのモデル研究を実施し,1つは論文投稿,もう一方は学会発表を行い現在論文を執筆している.このため概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は事業者と消費者に加え,価格決定アルゴリズムを提供する委託会社の3者からなる状況下で動的価格の上限規制について研究する.スポーツやライブなどのイベント主催者は収益最大化だけではなくイベントの盛り上がりに関わるため座席の稼働率も重視する.このため,主催者が稼働率を考慮して定めた上限規制のもとで委託会社が収益最大化を目的とする価格決定アルゴリズムを提供する2段階意思決定問題を考える.これにより,稼働率の高まりによってイベント当日の顧客の満足度は高まると予想する.さらに,リセール市場におけるチケット出品を考慮した動的価格決定問題にも取り組む.イベント主催者が公式に実施するリセール市場では購入価格またはそれ以下での出品が求められる.このようなリセール市場の存在は,動的に価格が変化する1次市場の価格とカニバリゼーションを引き起こす可能性があり,事業者の収益を低下させる恐れがある.このため,リセール市場の情報を1次市場の価格決定に取り入れた新たな価格設定方策が求められる.1次市場とリセール市場が適切な関係にあれば,消費者視点では安心な購買環境が確保されるといえる.
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Causes of Carryover |
次年度にオランダで開催される国際学会に参加する予定であり,円安の影響から旅費及び参加費が高額になると予想されます.そのため,本年度の予算を次年度使用することを希望します.
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