2023 Fiscal Year Research-status Report
電磁力振動を使用した地熱発電所鋼管の内壁に付着した温泉スケール厚み測定法
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23K04308
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 雄治 大分大学, 理工学部, 教授 (00373184)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 地熱発電所 / 還元井鋼管 / 温泉スケール / 電磁力 / ローレンツ力 / 振動変位解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地熱発電所内に使用される主に還元井鋼管内に付着する温泉スケールの厚みを、鋼管の外側から推定する非破壊検査手法についての研究を実施している。ここでは、還元井鋼管や温泉スケールの物理的性質を考慮した電磁力振動・変位解析のプログラムを開発し、測定原理の解明を行うと共に、最適な測定センサの設計を行い、実用化を視野に入れた検証実験と装置開発を行っている。 2023年度は実際に地熱発電所で使用されている還元井鋼管の磁気特性(B-H曲線)と導電率の測定を行った。また、これらの電磁気特性を考慮する三次元有限要素法の直流磁界非線形解析と、交流磁界非線形渦電流解析、また直流磁界と渦電流から算出する電磁力解析プログラムの開発を行った。さらに、鋼管と温泉スケールのヤング率やポアソン比を考慮した三次元有限要素法の振動変位解析プログラムの開発も行い、本提案測定手法の測定原理の解明を行った。 また、地熱発電所で使用される鋼管は径が大きいため、鋼管を電磁気特性が同等の平板鋼板として近似し、ヤング率やポアソン比が温泉スケールと類似しているセメントを鋼板裏面に塗り付けて、様々な温泉スケールの厚みを有する模擬試験片の作成を行った。次に、この試験片を使用して温泉スケールの厚みが電磁力振動に及ぼす影響を計算し、同じモデルでの検証実験装置も作成して、計算値と実験値の比較を行った。その結果、解析と実験では同様の傾向が得られ、温泉スケールの厚みを十分測定できる程度の振動変化を得る事ができた。さらに、鋼管内部に分布する直流磁界分布や渦電流分布、電磁力分布や変位分布等の解析も行い、温泉スケールの厚みが振動強度変化を与える要因についての現象解明も行えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画通り、提案する電磁力振動センサの検出原理を解析する三次元有限要素法の電磁力・変位解析プログラムを開発する事に最も注力を注いだが、概ね解析プログラムの開発が行えた。また、この開発したプログラムの有用性を確かめる基礎的な実験も実施し、解析結果と実験結果の整合性を得る事ができている。さらに、この解析プログラムを使用して、本提案検査手法の検査原理の解明も、鋼管内部に分布する直流磁界分布や渦電流分布、電磁力分布や変位分布等の計算結果を検証する事で行え、おおむね順調に研究が進展していると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本提案測定センサの最適形状や大きさ、励磁周波数や励磁電流値、コイルの巻き数などの各種測定条件の選定を、本年度に開発した電磁力・振動変位解析を駆使して実施する。また解析結果を参考にして試作センサを作成し、実験による検証も行い、実際のモデルに近い環境下での最適な測定条件を検討していく予定とする。さらに、これらの選定が行えた後に、実際の地熱発電所内で使用されている還元井鋼管での基礎実験を行い、より実用的な装置構成を検討する予定としている。
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Research Products
(7 results)