2023 Fiscal Year Research-status Report
Developing a method for estimating traffic volume on community roads for traffic safety on school routes
Project/Area Number |
23K04314
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Research Institution | SALESIAN POLYTECHNIC |
Principal Investigator |
島川 陽一 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10446239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五島 洋行 法政大学, 理工学部, 教授 (00398950)
大塚 帯紀 サイバー大学, IT総合学部, 助教 (00897449)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非幹線道路交通量 / 通学路 / 携帯電話の位置情報 / オルタナデータ / 地理情報 / 交通量推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は通学路の交通安全に資する細街路の時間帯交通量を推定する手法の開発が目的である。近年注目されているオルタナティブデータを用いて推定する点にこの研究の特徴がある。この研究は主テーマとサブテーマに分割して研究実施計画を策定した。以下ではこれに沿って主・サブテーマ別に報告する。 主テーマの目標は携帯電話の位置情報を用いて時間帯別の現況交通量を推定する方法の開発である。分析のターゲットエリアは神奈川県相模原市中央区とした。JR相模原駅を中心とするこの地区は北側に米軍相模総合補給廠が存在し、町田方面への大きな道路は存在しない。南側には相模川が存在し、南北からの交通量の流入は少ないと考えられる。主要道路は国道16号線と129号線であり、細街路に流入する交通量を推定しやすいと考えた。そこでこの地区の2023年の6月と10月(平日)の携帯電話位置情報データを購入した。国土交通省の一般交通量調査がこの時期に調査を行っていることから、一般交通量調査を補助的に利用することと比較を可能にするため調査時期を合わせることにした。データは23年の10月までに6月分、24年1月末に10月分を購入し、データクリーニングを実施した。その後年代別、居住地別データに分解、またターゲットエリアへの流入・流出別に分解する作業を行った。この作業は24年3月までの時間を要した。 サブテーマの目的は携帯電話によるデータ取得過程で発生する誤差と傾向の明確化である。携帯電話による採取情報が測定時のどのような要因でどのような傾向の誤差を発生させるのかを実際に測定することにより明らかにする。これについては当初の計画通り、23年の7月までに測定器(iPad)を購入し、データ採集用のアプリケーションを作成した。23年の10月からアプリケーションの動作確認と精度検証のため予備的に19~22歳の男女について複数のデータを採取した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの進捗状況を「(3)やや遅れている」としたが、これは「研究実施計画」で実施を計画した国内外での学協会への参加が本来業務過多のため実施できなかったことによる。申請者および分担研究者が本来の所属組織で実施する研究開発業務についてはほぼ予定通り実施されていることは明記しておく。以下では2分割した主テーマとサブテーマ別に進捗状況を報告する。 主テーマでは23年度末時点で購入したデータの精査を行っている。この作業は23年中に完了させている予定であったので若干の遅れが認められる状況である。申請者は従前の研究において国土交通省の交通データを使用して交通量の推定を行ってきた。国交省のデータはデータ調査の方法やデータの傾向誤差等、その問題点が明らかになっておりデータの精度の精査には時間がかからない。その関連の論文も多く執筆されている。一方、今回の研究で使用する携帯電話の位置データはデータの調査方法やその問題点についての研究は少なく、データの精度は明らかではない。申請者は購入したデータを頭から信用することなく様々な統計的分析手法を用いて問題点を明らかにすることとした。これが主テーマでデータの精度検証に手間取っている理由である。 サブテーマは研究計画にそっておおむね順調に推移している。申請者の研究室の学生が開発したデータ測定用の(携帯)アプリは分担研究者の研究室の学生にも配布され、ソフトウエアとしての耐久試験が実施された。実際に用いて問題点を抽出してその改善を行うことでアプリの信頼度はかなり向上している。年度最後に行った予備的な実験は開発学生の卒業研究のテーマとしてその成果が公開された。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で報告したように遅れているのは、最新の研究成果のリサーチ、実務担当者の意見の聞き取り調査と研究成果の公表とであり、研究自体は予定通り進捗していると考えている。したがって研究計画を変更する予定はない。研究計画の通りに推進する予定である。 24年度は23年度に全く実施できなかった国内外での調査及び成果公表を極力実施したい。23年度は主テーマでは携帯の位置情報データの傾向と精度を把握するために統計的な分析手法を適用した。データをクラスタに分割して、交通手段を被説明変数とする要因分析を行った。この方法が最も良いものであるとは思えないが、この過程で得られた適用方法とその結果はオルタナデータの精度検証の方法としての知見となりうるのではないか、と考えている。実際は試行錯誤の連続だったが、サンプルをクラスタ分割する上では有用であったし、度のクラスタにも属さない精度に問題のあるサンプルも把握できた。この知見を活かして分析の方法と内容を整理し、オルタナデータ精度把握の問題意識を喚起したい。主テーマについてはこれも研究計画に追加して今後の推進方策とする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は当初予定していた国内外の研究発表会に参加できなかったためである。これは申請者の本来業務が過多であったため参加できなかった。次年度は業務を整理して国際会議に参加、実務や有識者からのコメントをいただく予定でいる。次年度の学会参加は国際会議を予定しているので研究費の使用計画に変更はない。
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