2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K04388
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
木嶋 倫人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50356870)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイクロ波化学 / 液相合成 / ナノ結晶 / 遮熱材料 / 蓄電材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マイクロ波加熱を用いて、ナノ複合材料を合成すること、ならびに基板上に酸化物層を集積する技術を確立することである。本年度の目標は、従来型のマイクロ波照射装置(電界・磁界未分離)を使用して、遮熱、蓄熱、蓄電材料等の応用に繋がるナノ結晶の合成とナノ複合化を行うことである。
本年度は、液相マイクロ波プロセスにより、遮熱特性(赤外線遮蔽特性)に優れた性能を示すITO(Tin-doped In2O3)ナノ結晶を合成することに成功した。ITOナノ結晶は、300℃、1 minの加熱で合成することが可能であり、Sn/(In+Sn)が0.05~0.4の範囲で、単相試料が得られることが明らかになった。電子顕微鏡観察によると、ITOナノ結晶は擬立方体形状であり、粒子サイズは、10~20 nmであった。このITOナノ結晶をインク化し、ガラス基板にコートして紫外線から近赤外線領域までの範囲で光学特性を評価したところ、可視光透過率88%、日射透過率67%、ヘーズ値1.3が得られ、優れた可視光透過性と赤外線遮蔽特性を示した。このITOコーティングガラスの断面を電子顕微鏡で観察したところ、膜厚が約1μmであり、ITOナノ結晶が積層されていることを確認した。蓄電材料については、オリビン型正極材料の合成を検討した。マイクロ波加熱により、単相のLiFePO4ナノ結晶が合成可能であり、充放電可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遮熱材料、蓄電材料については、原料溶液の調整方法とマイクロ波加熱によるナノ結晶の合成方法を確立したが、蓄熱材料については、合成条件の検討段階にある。遮熱材料については、得られたナノ結晶をインク化し、ガラス基板にコートすることで、優れた特性を得ることに成功した。さらに、この原料溶液中に設置したガラス基板上に直接、ナノ結晶を析出させる予備的検討を開始した。蓄電材料については、充放電可能な材料をマイクロ波合成することに成功し、炭素との複合化実験も開始した段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の合成検討で、本研究で取り組む、遮熱、蓄熱、蓄電材料の絞り込みが完了した。それぞれ、誘電体、半導体、導電体的性質を有していることから、これらの物質でナノ複合化の検討を進める。さらには、電界集中あるいは磁界集中下で選択加熱が可能なマイクロ波照射装置の開発を行う。
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Causes of Carryover |
既設のマイクロ波加熱装置のマイクロ波発振器が故障したため、年度内に装置の改造を行うことができなかった。未使用額は、翌年の助成金と合わせて主にマイクロ波加熱装置関連費用に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)