2023 Fiscal Year Research-status Report
Reconsideration of a 3-D sintering model by numerical analysis of shape and alignment parameters of metal powders during the sintering process
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23K04439
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾崎 由紀子 九州大学, 工学研究院, 教授 (20637946)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 固相焼結 / 焼結速度式 / in-situ X線CT / 位相幾何学 / 焼結ネック径 |
Outline of Annual Research Achievements |
焼結による固化プロセスは粉末粒子の表面エネルギーを駆動力とするため、加工時のエネルギー消費は他の素形材プロセスよりも低く、積層造形の一種であるバインダー・ジェット積層材(粉末床への樹脂ジェトにより接着された粉末積層材)の焼結、外部場制御焼結等、エネルギー効率を考慮した新材料の創製においてその重要度が増している。 材料の融点以下の温度で焼結が行われる固相焼結機構については、すでに、圧粉体粒子の形態変化とその外形寸法の変化を結ぶ速度式に関する研究は数多くなされ、物質移動が盛んな焼結初期では、基本的な固相内の拡散経路(格子拡散、粒界拡散、および表面拡散)に加え、粘性流動、蒸発-凝集(気相拡散)を考慮した等温焼結速度式は、温度Tと等温焼結時間tの関数として次式に整理されている。 (X/D)n=B(T) t /Dm …(1) ここで、Xは粒子接合部(ネック部)の直径、Dは粒子直径である。指数n、mおよびF(T)はそれぞれ拡散経路に応じて決定される定数および温度と物質移動に関わる物性値に依存した補正項とされ、これらの数値によって焼結の駆動因子が推定されている。しかしながら、形状因子XおよびDは、着目する焼結温度から急冷された2次元組織のミクロな限定視野から決定されたものであり、①3次元情報、②加熱による熱膨張の影響が排除され、真の焼結挙動を決定する速度式とは言い難い。 本研究では、X線コンピュータ・トモグラフィー(CT)法によって粉体焼結の基本系である固相焼結過程を in-situ 観察し、加熱温度および時間に応じて変化する個々の粒子形態スナップショットとして可視化し、3D画像解析を行うことによって、全ての接触粒子対について、配位数、粒子間接触部(ネック)面積、および接触粒子体積を温度と時間の関数として数値化することによって、これらを変数とした新たな3D焼結モデルの構築を目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定の実施内容は以下の4点である。すなわち、①金属圧粉体中の粒子接合状態の高輝度X線in-situ CT観測手法の確立;②3D画像解析を用いた圧粉体の巨視的形状因子(高さ、幅、厚さなど)、および圧粉体内部の粒子群の微視的形状因子上記X,Dを数値化する手法の確立;③得られた微視的形状因子を用いた既存(1)式の検証;④温度、時間および微視的形状因子を変数とした、巨視的な形状因子の予測式の提案である。
本年度は、①および②について検討し、以下の成果を得た。 まず、In situ X線CT観測装置について検討し、JASRI所有のビームライン設置用赤外集光型加熱炉を用い、Cuガスアトマイズ粉末を対象に加熱下でのその場観察を実施した。高精度の金型を製作により直径2 mm × 高さ2 mm 程度の小型円筒形状に成形し、施設内最大の110 keVの光子エネルギーの条件で十分な透過率を得ることを確認した。まずは、報告例のある800℃に保持した状態で、CT像を20分間連続撮像できた。その結果、粒子接合直径が40μm程度であり、焼結条件として画素サイズ(Min. 1 μm )を超える接合径の変化を得る条件が必要であり、800℃、20分程度の変化の追跡は困難であることも判明した。観測時間の延長、または保持温度の高温化が必要であることが課題である。 次に、得られたCT画像を3D画像解析ソフト(Avizo 3D Pro およびimage J)を用いて数値化し、巨視的パラメータ(円筒試料の平均外径および平均高さ)を求めた。微視的パラメータ算出の手法選定のため、2D断面の限定視野画像について、粒子径および接合長を実測する従来法、および位相幾何学(パーシステントホモロジー等)による分割領域径および交差領域断面径の算定等を適用し、比較検討を行なっている。接合粒子の分割、被分割粒子径の定義が目下の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記計画において、目下の課題の解決が2024年度の課題である。①および②の課題解決が次年度の主な実施内容となる。すなわち、800℃以上、融点直下までの高温領域でのCu圧粉体のCT像の取得、および②CT像からの微視的パラメータの最適決定手法の確立である。上記の課題が解決され、パラメータが決定された後、直ちに③および④の解析に進む。これらについて検討を行い、2024年度中に学会発表および論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
in-situ X線CT観測で使用した赤外線集中加熱炉の状態が良好で、予備実験の実施、および炉の整備(熱電対の更新他)が不要となったことにより、余剰金が発生した。しかしながら、より高温・長時間でのin-situ X線CT観測実施の必要性が確認されたため、次年度以降、当該装置の補修費用に充てる予定である。
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