2023 Fiscal Year Research-status Report
部分半焼結によるサポートレス低温樹脂レーザ焼結の実用化
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23K04457
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
小林 隆一 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部物理応用技術部機械技術グループ, 副主任研究員 (30707112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木暮 尊志 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部物理応用技術部機械技術グループ, 主任研究員 (00587131)
山内 友貴 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部物理応用技術部機械技術グループ, 主任研究員 (20587133)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 付加製造 / 樹脂粉末床溶融結合 / レーザ焼結 / 半焼結 / サポートレス / 低温造形 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、提案手法によってサポートレス低温造形が可能がどうかの基礎実験を行った。具体的には、ポリアミド11の粉末を単層(0.1mm厚)敷いた後、粉末床温度を結晶化温度以下に保温し、粉末床の一部に低エネルギレーザ照射を行うことで選択的に半焼結を形成した後、当該部分の内側にさらに高エネルギーレーザ照射を行った。このとき、高エネルギーレーザ照射した部分が反ってしまうかどうかを確認したところ、特定の条件において、そりが抑制できることがわかった。単層実験にて提案手法の可能性が確認できたことから、10mm×10mm×5mm(5mmが積層方向)の造形を行った。なお、低エネルギレーザ照射の範囲は20mm×20mmとした。このとき、積層プロセスは成功したものの、造形品底面に反り(カール現象)が確認されたため、アンカー効果を狙い10mm×10mm×5mmの四隅に1mm×1mm×5mmの足を追加した。アンカー効果によって反りの低減が確認できた。しかし、完全に抑制することは困難であった。粉末床温度100度で造形したサンプルについては、その見かけ密度を測定した。密度の平均は0.98g/cm3程度であり水に浮く結果となった。ポリアミド11の見かけ密度は1.0g/cm3以上が一般的であるため、形状、密度共にさらなる品質改善が必要であることが分かった。なお、100℃に曝された粉末の融点と注ぎ密度は、新品の粉末とそん色ない程度であった。先行研究から、一般的な粉末床温度である結晶化温度と融点の間に曝されたポリアミド11粉末は融点と注ぎ密度が変化することがわかっているため、粉末の大量劣化を防ぐ造形を実現可能である目途が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10mm角と小型ではあるものの、提案手法でサポートレス低温樹脂レーザ焼結を実現できたことから、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
単層の反り抑制において、半焼結が機能することは示せた。ただし、粉末床が低温であることから、収縮済みの造形品に対して積層造形を行うため、層毎の収縮が累積することによる反り(形状変化)が回避できない可能性がある。このことから、XYZの各方向の収縮補正に加え、累積反り補正を追加で検討する。今後予定している長尺物(引張試験片)の作製を見越して、累積反り補正技術を確立することを目指す。
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Causes of Carryover |
樹脂粉末価格の上昇によって、当初予算と購入金額に乖離が出たため端数が生じた。次年度も物価上昇が見込まれるため、乖離分は次年度の粉末購入費用等に充てる。
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