2023 Fiscal Year Research-status Report
環境水中の希薄な環境汚染物質分離のための環境適応材料を用いた吸着剤の開発
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23K04480
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松本 道明 同志社大学, 理工学部, 教授 (10157381)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | PFAS / オキソ酸金属 / 吸着 / 抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,環境水中に希薄に存在する環境汚染物質を,環境適応材料を用いた吸着剤により回収する方法の確立であり,そのために以下の検討を行った (1)ホウ酸やモリブデンなどのオキソ酸金属イオンを環境負荷の小さなイオン液体をベースにした天然由来資源のみからなる新しい吸着性の多糖ゲルにより分離除去すること. 本年度は天然の多糖であるセルロース・キトサン複合ゲルビーズの調製とその金属吸着特性について検討し,遷移金属について良好な吸着特性をもつことおよび吸着剤の繰り返し使用が可能であることを見出した.さらに天然多糖であるキトサンと酸化金属の複合ゲルがオキソ酸金属イオンであるモリブデン酸と高い親和性を持つことを新たに見出した. (2)難分解性有機フッ素化合物(PFAS)をプロトン性イオン液体もしくはその一種ともいえる深共晶溶媒を内包するピッカリングエマルション型吸着剤により分離除去すること. 本年度は深共晶溶媒を内包したピッカリングエマルション型吸着剤の調製法を確立し,まず金属吸着特性を調べた.その結果希土類金属への優れた吸着特性を示すことを見出した.PFAS分離に関しては,PFASの一種でパーフルオロオクタン酸(PFOA)とイオン交換した新しいイオン液体を合成し,これを用いて吸着実験の前段階として液液抽出及び膜抽出実験を行った.その結果一種の吸着系である膜抽出系では80%以上のPFOAが回収され,系の繰り返し使用も可能であることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つの研究課題に関して当初の計画通り順調に進行し,期待される結果を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
2つの研究課題に関して当初の計画通り順調に進行しており,今後も計画に沿って進めていく予定である.一方で多糖の複合粒子を調整する中で,キトサンと酸化金属による複合粒子がオキソ酸金属イオンを選択的に吸着できることを見出した.この点についても今後検討を重ねていく予定である.
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