2023 Fiscal Year Research-status Report
Novel bioproduction process from CO2 by hydrogen-oxidizing bacteria in gas phase using dry culture solution
Project/Area Number |
23K04483
|
Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
直江 一光 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (00259912)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 水素酸化細菌 / 二酸化炭素固定化 / ドライリキッド / 独立栄養培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、水素酸化細菌培養液をドライリキッド化し、気相中で培養することでCO2を有用物質に変換する新規物質生産プロセスの構築を目指している。そこで、2023年度は以下の項目について研究を実施した。 1) ドライ培養液調製条件の確立を目指し、攪拌槽におけるドライリキッドの調製条件について検討した。疎水性粉体としてステアリン酸マグネシウムマイクロ粒子(平均径4.6 μm)を用いた。ガラス製攪拌槽に所定量のマイクロ粒子を添加後、イオン交換水を加え、その混合物を6枚羽根タービン翼で10分間攪拌した。得られた粉体は流動性を示し、また押しつぶすと水分が漏出し、粉体中に水が存在することが示された。そこで、粉体の顕微鏡観察から100 μmオーダーの凝集体を確認し、さらに蛍光顕微鏡観察から本粒子よるドライウォーター(DW)の形成を確認した。水分量を変化させて調製したところ、特定の水分量以下では粉状のDWが形成されたのに対し、その水分量を超えた領域では粉状からムース状に変化した。さらに特定の撹拌回転数以上でムース状形態が出現することがわかった。また、再利用した粉体でも粉状DWが形成できることを明らかにした。 2) モデル水素酸化細菌を用いてフラスコ培養による水素酸化細菌の培養基礎データの取得を行った。水素酸化細菌のフラスコ培養に当たって、まず、フラスコへの基質ガス(水素、CO2、窒素の混合ガス)を充填するためのガス充填システムを構築した。フラスコ内のミネラル塩培地にモデル水素酸化細菌Cupriavidus necatorを接種後、ガス充填システムにより基質ガスを充填し、30℃のインキュベーター内で回転培養を行ったところ、培養液は白濁し、菌体の増殖を確認した。なお、使用した培地には炭水化物などの炭素源は一切含まれないことから、本菌を基質ガス中のCO2を炭素源として増殖させることに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度では、上述の概要に示すように、成果として(1)疎水性粉体としてステアリン酸マグネシウムマイクロ粒子を用い、攪拌槽において水を用いたドライリキッド(ドライウォーター)の調製に成功した。さらに、水分量及び攪拌回転数の影響について調べ、ドライウォーターを形成する水分量及び撹拌回転数の領域を明らかにした。また、粉体の再利用が可能であることも明らかにした。(2) モデル水素酸化細菌を用いてフラスコ培養による水素酸化細菌の培養基礎データの取得を行った。まず、フラスコへの基質ガスを充填するためのガス充填システムを構築した。そして、ガス充填システムにより基質ガスを充填したフラスコ内において培養を行い、菌体の増殖を確認するとともに、本菌が基質ガス中のCO2を炭素源として増殖させることに成功した。このようにほぼ当初計画通りの成果が得られており、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、水素酸化細菌培養液をドライリキッド化し、気相中で培養することでCO2を有用物質に変換する新規物質生産プロセスの構築を目指す。 具体的には、(1)前年度に得られたドライリキッド調製条件を基に水素酸化細菌含有ドライ培養液の調製を試みる。また、得られた菌体含有ドライ培養液について、その特性評価(安定性など)を行う。また、(2) 気相培養システムの構築を行う。充填層型気相培養装置を製作し、温度制御が可能なものとする。また、無菌的に基質ガスを導入し、培養中は基質ガスを循環する。これらの知見を基に、CO2を有用物質に変換する新規物質生産プロセスの構築を目指す。
|