2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of organic luminescent nanomaterials bearing charge generating moieties
Project/Area Number |
23K04534
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲田 雄飛 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 助教 (90770941)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ナノ発光材料 / 電荷発生部位 / 有機半導体 / 励起子消滅 / 発光デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電流注入型有機レーザーデバイスの性能向上に向けて、高電流密度下における発光効率の低下の一因とされる『励起子消滅』を抑制可能なデバイス構造の実現を目指す。このために、『電荷発生部位を設けたナノ発光材料』を創製し、これを絶縁膜に分散させて交流電場で発光するデバイスを作製・評価する。 このような材料の創製に向けた第一段階として、本年度は (I) 発光部位に相当する分子と電荷発生部位に相当する分子(以下、ドーパントと表記)のスクリーニングを行い、電荷の授受が起こりやすい系の探索を試みた。特に、n型ドーパントから発光部位に相当する分子への電子の供与が観測されづらく、現時点では、効率良くn型ドーピングが可能な系を見出せていない(詳しくは「今後の研究の推進方策」で後述)。 また、これと並行し、絶縁膜を介して印加された交流電場で発光する有機デバイスとして一般的な、有機発光層と電荷発生層からなる積層膜を用いて、(II) このようなデバイスの作製、測定系の構築、ならびに評価方法の最適化にも取り組んだ。まず、絶縁膜として複数の材料を検討したところ、膜厚100 nm以上の二酸化ケイ素を用いた場合に良好な絶縁性が得られることが分かった。この絶縁膜を用いて上記のような積層型の有機発光デバイスを作製し、発光を得ることができた。現在、電流の時間波形を詳細に解析することで、デバイス中を流れる電流を推定し、これと発光強度の時間波形の相関について調べている。このような知見は、交流電場で発光する有機デバイスの動作を理解する上で重要な手がかりとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
デバイス作製法や評価法の構築は順調に進んでいるが、現時点では効率良くドーピング可能な系を見出せていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、効率良くn型ドーピングが可能な系を探索する。本年度は最も簡易な方法でスクリーニングを行った。発光部位に相当する分子とドーパントを溶液中で混合し、電極上に滴下して乾燥させる方法でトランジスタデバイスを作製し、ドーピングの挙動を調べた。しかし、発光部位に相当する分子の結晶性が高く、ドーパントとうまく混合していない様子が見られたため、そもそもドーピングが起こりづらい状態であったと考えられる。 次年度は、ドーパントを後から含浸させる手法を検討し、この点の改善を試みる。あるいは、従来のように、有機発光層と電荷発生層からなる積層膜に絶縁膜を介して交流電場を印加し、発光を調べる形でスクリーニングを行う。その上で、発光部位と電荷発生部位を結合させた材料の合成ならびに発光特性の評価を進める。
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Causes of Carryover |
本年度3月に発注した実験消耗品1点に関して支払い方法の選択を誤り、本年度の予算で支払えなくなったため。使用計画は当初通りである。
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