2023 Fiscal Year Research-status Report
ポリアミンから創製される特異的な界面を用いた液晶の配向制御
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23K04537
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松木囿 裕之 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (50724150)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | ポリアミン / 液晶配向制御 / ポリアミド |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は液晶の配向制御に用いるポリマーの合成を主として行った。 具体的には1,3-プロパンジアミンとアクリル酸メチルをマイケル付加により反応し、Boc保護後、加水分解した。末端を活性エステルで処理した後、1,3-プロパンジアミンと反応させ、Boc基を脱保護後イオン交換処理することによりプロピレンイミン骨格を有するポリアミドを合成した。同様にして1,4-ジアミノブタン、N-(tert-ブトキシカルボニル)イミノ二酢酸、エチレンジアミン-N,N'-ジプロピオン酸からそれぞれポリアミドを合成した。 これらのポリアミドはいずれも水溶性であり、基盤上で乾燥させることで薄膜化させることができた。また反応性基であるイミン部位から化学修飾することができ、疎水性と親水性を調節することが可能となる。またイミン部位は種々の安価な酸クロリドと反応できるため、アンカリング性能を化学修飾で調整できる。そのため液晶の配向制御をする上で有効なポリマー材料であると考えられる。 また合成したポリアミドはアミド基をボラン還元することにより純粋に二級アミンの主鎖骨格からなる長鎖のポリアミンに変換することが出来た。本手法を用いることでエチレンイミンやトリメチレンイミン、テトラメチレンイミン部位が規則的に配列した長鎖のポリアミンを合成することが可能となった。ポリアミドと比較してより水溶性が向上しており、高密度で官能基修飾ができるので、これらのポリアミンも配向制御をする上で有効な材料と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
配向制御に用いるポリアミドおよびポリアミンを合成するルートの開拓を行うことができ、実際に複数のポリアミドを合成できている。有機カルボン酸との反応で安定な複合化体を構築できる組み合わせは現時点では確認できていないが、アミン部位を直接有機修飾することで液晶の配向制御を行う被膜は作製できると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
合成したポリアミドあるいはポリアミンのアミノ基を無水コハク酸や長鎖アルキル基を有する酸クロリド等と反応させることで極性および液晶に対するアンカリング性能の異なるポリマーを作製する。その後基盤上への修飾法を検討し、撥水性などを接触角測定で評価する。その後、実際に5CBなどの一般的な液晶を用いてサンドイッチセルを作製し、配向挙動を偏光顕微鏡で評価する。
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Causes of Carryover |
本研究では用いるポリアミドおよびポリアミンを合成する必要があるが、申請者の採択された別の課題(基盤C:19K05189)で用いる材料と一部共通するものがあり、そちらで薬品の購入などを優先させたので、予定よりも用いる金額が少なくなった。
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