2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of electrochemiluminescence biochip based on graphene transfer method using nitrocellulose membrane
Project/Area Number |
23K04542
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 剛志 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30803506)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | グラフェン / 電気化学発光 / 免疫分析 / 透明電極 / イムノクロマト法 / セルロース / 二次元物質 / 転写 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、CVD法により作製したグラフェンを透明電極として電気化学発光免疫分析に利用し、高感度測定と迅速簡易測定を両立する分析システムを構築することにある。迅速簡易測定の実現には、イムノクロマト法のように分析チップ上に抗体等の分子認識物質を固定化する必要がある。本研究課題では、CVD法により銅基板上に作製したグラフェンを透明基板上に転写する際の支持材として多孔質セルロース膜を利用し、転写後の多孔質セルロース膜を抗体の固定化膜として利用することを提案している。2023年度は多孔質セルロース膜の作製条件の検討と作製した多孔質セルロース膜の評価を行った。従来のポリメタクリル酸メチルを支持材とするグラフェン転写法に倣い、ニトロセルロースと酢酸セルロースの溶液をグラフェン上にスピンコートして、グラフェンの転写を行った。その結果、これらのセルロース膜は多孔質構造とはならなかったが、ニトロセルロースと酢酸セルロースの混合溶液を用いて作製した膜では多孔質構造が形成され、グラフェンの転写にも成功した。さらに転写後の多孔質セルロース/グラフェン積層体の多孔質セルロース膜に抗体を担持し、がんマーカーであるCEAの電気化学発光免疫分析にも成功した。 つづいて多孔質セルロース膜を厚くするため、2023年度に導入した小型自動フィルムアプリケーターを利用した相転換法による多孔質セルロース/グラフェン積層体電極の作製を行った。これにより大面積かつ均一に多孔質セルロース膜が形成されたグラフェン電極の作製が可能になった。ウシ血清アルブミンを用いた実験により、市販品と同等のタンパク質吸着能を有することが確認された。 さらに、多孔質膜を用いたグラフェンの転写法が、従来法で必要であった“水にグラフェンを浮かべてハンドリングする工程”が不要であることがわかった。 これらの成果は2件のPCT国際出願に繋がった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023~2024年度にかけて実施を計画していた【研究項目1:ニトロセルロース膜の構造制御手法及びグラフェン転写手法の確立】と【研究項目2:ニトロセルロース/グラフェン膜のECL特性及びタンパク吸着特性の評価】が2023年度内に概ね完了し、良好な結果が得られたことから当初の計画以上に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ECL免疫分析に適した多孔質セルロース膜の厚みの最適化を行い、ECL免疫分析を行い高感度な分析手法であることを実証する。 また検査チップ及び小型なECL分析装置のプロトタイプの作製を行う。 さらに産業応用を見据えて、本課題で提案した多孔質セルロース膜の転写法の利点を生かしたCVDグラフェン透明電極のプロセス技術の開発を行う。
|