2023 Fiscal Year Research-status Report
固体アクア錯体を用いた配位子交換反応による精密結晶構造制御手法の開発
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23K04605
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小曽根 崇 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (90595802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 孝史 東邦大学, 理学部, 教授 (60246767)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 配位高分子 / 置換反応 / スピンクロスオーバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアクア錯体 Fe(H2O)2[Ni(CN)4]・2G (G = 結晶溶媒) の0.2 mm2 程度のプレート状単結晶を用いて、各種ピリジン系配位子(L = ピリジン、アルキルピリジン、3-フルオロピリジン、ピラジン)を各種溶媒に溶かした溶液を滴下、静置し配位子置換をおこなった。反応後のサンプルについて、単結晶X線回折、粉末X線回折、熱分析、各種分光分析等からサンプルの構造、組成を同定した。この結果、配位子の置換反応が結晶表面付近で止まってしまうものと、ほぼ完全に置換が進むもの(L = ピリジン、3-フルオロピリジン)があることがわかった。配位子側のみから考察すると、極性の違いや単座、両座の違いから検討していくことになる。逆に完全に置換した場合の構造の化合物の安定性もカギになっているように思われる。ピリジン、3-フルオロピリジンのホフマン型構造はシート間のスタッキングが密になるため、スタート物質より構造が安定なため、自発的に反応が進みやすいのかもしれない。いずれにせよ、置換に使う配位子を用いたホフマン型化合物の合成と構造決定も同時に進めていく必要はある。 ホフマン型構造はピリジン系配位子をメインに新規化合物の探索が進められているが、我々は5員環構造であるイミダゾール系配位子についても検討を行った。 アクア錯体の単結晶に対しコアシェル構造の構築を試みた。いくつかイミダゾール誘導についても置換反応が進行することを確認した。これらの配位子についてもホフマン型化合物の合成と構造決定を行い学会および論文にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究目標1:アクア錯体への配位子交換による合成法の確立に対して、研究実施計画【1.1 :アクア錯体への配位子置換反応による合成実験】および【1.2: 1-X の構造および SCO 特性評価による置換反応の確認】について実施した。しかしながら、合成物の物性評価装置のひとつである示差走査熱量計(DSC)が故障してしまい、スピン転移化合物の系統的な探索が困難となった。スピン転移自体は温度変化(液体窒素冷却)によって色の変化も起こるため、新規化合物について、色の変化から相転移の有無のみ確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験結果から、配位子に依存して反応速度が劇的に異なることが分かったため、来年度は研究実施計画【1.4 :置換結晶の膜厚および反応速度評価】の実験を主体に進めていくことにする。置換反応の浸潤速度と配位子、構造の相関についての知見を得ていく。 置換反応の浸潤速度は反応溶液の配位子濃度を赤外分光で反応時間ごとのピーク変化を追跡することで、データを得る。 また、ピラジン(pz)を用いた3次元ホフマン型化合物Fe(pz)[Ni(CN)4]・2Gは常温近傍でHS,LSに転移することから、置換反応のスタート物質として用いた場合、Fe(II)のLS,HSは交換反応が活性(HS),不活性(LS)がはっきりと分かれているので、温度を点移転以下に下げることで、反応を任意で止めることができる可能性があるので、上記の実験についてFe(pz)[Ni(CN)4]・2Gを用いた置換反応実験も行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度(2023年度)は交付された予算(直接経費:2,200,000)について執行しなかった。次年度、および次々年度に予算を使用する。理由および使用計画について以下に記載する。 1.申請者は所属機関で研究室を新規に立ち上げた。当初、研究室に合成実験のための設備(ドラフト、実験台、グローブボックス)がないため、予算に計上した。しかしながら、次々年度(2025年度)に職階の変更に伴う研究室の移動が発生することになった。そのため、ドラフト、実験台、グローブボックス等の設備系は購入・設置してしまうと引っ越しの際に多大なコストが発生してしまう。よって、これらの大型設備予算は次年度(2024年度)末および次々年度(2025年度)初頭に執行する。 それに伴い、今年度は必要最小限の器具・試薬・設備でできうる範囲で実験を遂行した。そのため、当初予定していた消耗品についても、手持ちの器具(他研究テーマにも共用なガラス器具等は他予算から購入)・試薬で実験を行った。
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Research Products
(2 results)