2023 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of UV Fano Switching Devices Using Fano Resonance and Application to UV Communication
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23K04611
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
元垣内 敦司 三重大学, 工学研究科, 准教授 (00303751)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 表面プラズモン / 局在型表面プラズモン / 伝搬型表面プラズモン / ファノ共鳴 / アルミニウムナノホールアレイ / 光吸収 / ファノスイッチング / 紫外光通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は紫外光通信に不可欠となる光スイッチング素子を、プラズモニックメタ表面のファノ共鳴を用いて実現することを目的とする。この目的に対して紫外光ファノスイッチング素子を実現するため、プラズモニックメタ表面におけるファノ共鳴の物理的機構を明らかにし、その知見を踏まえファノスイッチング素子の設計・作製・評価を行う。令和5年度はファノスイッチング素子を実現するために必要となる、プラズモニックメタ表面におけるファノ共鳴の物理的機構の解明をシミュレーションと実験から行った。 石英ガラス基板上Alと電子線レジストからなる2層型のナノホールアレイについて、厳密波結合解析法(RCWA法)を用いてシミュレーションを行い、波長 375nm、構造周期 300nm、ホール半径 85nmA、Al膜厚 80nm、レジスト厚 100nmのAlナノホールアレイを設計し、方位角0°でTM偏光の光を入射したところ、入射角10.8°で最大吸収率95%の急峻なピークを得ることができた。電磁場解析より、ナノホールの縁で発生する局在型表面プラズモンと、Al表面で発生する伝搬型表面プラズモンが共鳴するファノ共鳴によって急峻な吸収率のピークを得ることが明らかになった。また、方位角を45°にすると、TM偏光の光とTE偏光の光が異なる入射角度で吸収できることがわかり、TE偏光の吸収は複数のTM偏光の吸収モードの重ね合わせで発生することが分かった。 また、電子線描画と真空蒸着によりAlナノホールアレイ構造を作製し、波長375nmの光を照射して吸収特性を調べたところ、シミュレーション結果とほぼ同様の結果を得ることができ、実験によりシミュレーション結果の妥当性を確かめることもできた。 以上より、Alナノホールアレイにおいて、TM偏光とTE偏光の光が異なる入射角度で吸収できるので、スイッチング素子への応用ができることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
波長375nmの光に対して、ファノ共鳴によって急峻な吸収ピークが得られることだけでなく、方位角を45°にすることでTM偏光だけでなくTE偏光の光も吸収できることもシミュレーションと実験から明らかにすることができたため、当初の計画より進展していると判断できるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
波長375nmにおける吸収特性をシミュレーションと実験で明らかにすることができたので、今後は他波長におけるシミュレーションと実験での特性評価、スイッチング素子の具体的な構造とスイッチング特性の評価方法に関する検討を行う。
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Causes of Carryover |
光学測定装置を他研究費と合算で購入することができたため、予定より物品費の執行が少なくなり、約40万円の次年度使用額が発生した。これについては、次年度の名古屋大学での装置使用料や海外旅費などに充てる予定である。
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